ワーチャレで感じた「日本はすでに…」。日本サッカーが“次のステージ”に進むためには

2019年09月25日

育成/環境

今夏も6〜9月にかけて様々なカテゴリーで、いろんな形式の大会が行われた。そこで、今月の特集は「ジュニアサッカー取材備忘録」と題し、それぞれの大会で気づいたことを書き綴りたい。テーマを一つに絞り込むと、他に存在するジュニア年代で大切なことを伝えられない場合もあるので、今月はコラム形式で多様な記事を配信させていただきたいと思う。

【取材大会】
6月 2019コパ・ベルマーレU-11
8月 JFAバーモントカップ
  (第29回全日本U-12フットサル選手権大会)
8〜9月 U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2019

コラム第四弾は、8〜9月に大阪で行われた「U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2019」を取材して感じたことについて書きたい。9月の特集最後となるテーマは「日本の育成を俯瞰して見る」である。

【9月特集】ジュニアサッカー取材備忘録

取材・文●木之下潤 写真●中村僚


トヨタ・タイランド 広州富力足球倶楽部

すでに日本はアジアでも遅れを取りつつある

 大会最終日、準決勝「広州富力足球倶楽部(中国)×トヨタ・タイランド(タイ代表U-12)」、「ナイジェリア選抜×JFAトレセン大阪U-12」を見た後に感じたのは、何とも言えない焦りだった。これまでも、この大会を通じて驚くことは幾度となくあった。スペインのFCバルセロナをはじめとする欧州の名門クラブが披露するサッカーに、「対等に戦えるのは何年先だろう…」とため息を漏らしてばかりだった。

 しかし、この日の感情は違った。

 それは先進国ではなく、むしろ日本より後進国、もしくは日本より劣っている環境にある国が自分たちより質の高いサッカーを実践していたからだ。特にチームとしてオーガナイズされたサッカーは、明らかに日本よりプレーメカニズムを理解し、そこに相互理解が伴っていた。最近、日本ではゲームモデルとかプレー原則とかという言葉でそれが表現されているが、彼らのサッカーにはそれが存在していた。

とりあえず、つなぐ。
近くの選手に預ける… etc.

 そういったボールを中心とした近い関係からの広がりではなく、大局的に捉えた普遍的(=基本的)なプレーに基づいたサッカーとしての展開が成り立っていた。そのことはゲームの流れに応じた立ち位置からも見て取れた。

 この日、試合はガンバ大阪の本拠地「パナソニックスタジアム吹田」で行われたのだが、終了の笛が鳴り終わるたびにピッチを管理するグラウンドキーパーが芝を整備していた。それを何気に眺めていて、ふと思った。「彼らが補整している箇所ってプロの試合と比べてどうなんだろう?」。そこで、閉会式終了後に芝の状態をチェックしているグラウンドキーパーに直接たずねた。

「すいません。1試合目終了後も手入れをされていましたよね?」
「はい」
「プロの試合と比べて、1試合目は修繕した箇所に何か違いはありましたか?」
「手を加えた箇所に、ほとんど違いはありませんよ。一つ言うなら、ゴール前の荒れ具合がやっぱりプロのほうが激しいということくらいです」。

 U-12の試合運びとプロの試合運びと差がないことを聞いて、自分が抱いた感情に間違いがなかったことを確信した。第1試合は、「広州富力足球倶楽部(中国)×トヨタ・タイランド(タイ代表U-12)」。日本のサッカー関係者なら皆一様に感じるだろうが、両チームとも自分たちより格下だと思っている国々である。広州富力足球倶楽部は3年連続の出場となるが、毎年プレーの質が上がっている。それはチームとしても、個としても。トヨタ・タイランドは気持ちだけでなく、プレー内容も国を背負う誇りが感じられ、チームとして非常にオーガナイズされた現代的なサッカーをしていた。

 どちらも「チームとして、まずどんなサッカーをするのか」が全体に落とし込まれ、選手たちがそれに基づいて個々の能力を上乗せしていた。だから、トヨタ・タイランドはFCバルセロナを1-0で倒し、広州富力足球倶楽部はヴァンフォーレ甲府に3-0、サガン鳥栖に1-0と勝利し準決勝まで勝ち進んだのだ。これは偶然なんかではない。必然性をもって実力で勝ち得たものだ。それは優勝したナイジェリア選抜にも同じことが言えた。彼らもまた、FCバイエルン・ミュンヘンに勝利し今大会を制したのだ。

 これまで日本の各チームが欧州の名門から「何とか一勝をもぎ取ろう」と必死になって挑戦してきたことを、彼らはあっさりとやってのけた。この事実を日本のサッカー関係者はしっかりと受け止めるべきである。そこにどんな違いがあるのか、自分たちに何が足りないのか、今後どういう方向に歩みを進めるべきなのか。多くの人たちが議論を広げ、それをもっと深めていくことが必要なのではないかと、私は思っている。

 これ以上、日本が遅れをとらないためにも…。

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