ワーチャレで感じた「日本はすでに…」。日本サッカーが“次のステージ”に進むためには

2019年09月25日

育成/環境

ナイジェリア選抜

自分を解き放つことから成長は始まる

 今夏の「U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2019」で感じたことが、もう一つある。

 それはサッカーに大切なのが「自分を解き放つ」ことだということだ。今年は海外から10チームが参加し、ドイツやシンガポール、オーストリアといった様々な国の選手たちのサッカーを間近で見たが、彼らは思い切りプレーをしている。球際、パス、突破、運ぶこと…すべて自分が決断したことに対して100%で向き合っている。そこに「日本の選手も」と含めたいところだが、そこはためらってしまう。なぜなら日本の選手たちは自らの判断のまま、体が反応したままに100%でプレーすることを、どこかためらっているふしがあるからだ。

ボールを失うのが嫌。
競り合っても五分五分。
安全なほうがいいだろう… etc.

 ためらったプレーの先に個人の成長があるのだろうか。特にジュニアの頃は挑戦の数だけ成長につながるし、そのヒントや方法を見つける機会を得る。——それは選手でいる限り一生続くことだ。だから、代表、トップリーグの差になっている部分もあるのだろうが—— そう考えると、どうしても海外の選手たちと差が出るのは否めない気がする。そして、そういう環境を作り出しているのは、指導者や保護者といった私たち大人だ。

 もちろん、私たちメディアにも責任がある。それは言うべきことをはっきりと明確に伝えられていないから。その先にどうすべきかまで持論を展開できないから。だからこそ今、ここで立ち止まってサッカーの根本的な部分を一度見つめ直し、それを大切にトレーニングへとつなげていくことが大事だと思う。サッカーは頭で考えてやるものではない。体だけで表現するものでもない。プレーの根幹にあるものは「感情」だ。

サッカーが好き。
ボールを蹴るのが楽しい。
仲間とつながるのが快感。
ただシュートを決めたい… etc.

 そういう心を持ちながら、いかに子どもたちに少しずつサッカーのプレーメカニズムを感じさせ、自然に実践するように導いていくか。これが重要なのではないか。先に理論や方法論が立つのではない。身体的な能力、ボール扱いだけを高めるものでもない。心を土台としながら、そこに揺れ幅を与えて大きくしていくために数多くのプレーに触れる機会、数多くの状況に出会う機会を作り、思い切りプレーする環境を作る。それがサッカーがうまくなる、子どもたちが成長することに関わるということではないだろうか。その過程を大人が邪魔することがあってはならない。それは選手たちの心に土足で踏み込む行為だから。だから、欧州の名門クラブに限らず、海外チームの指導者たちは皆共通して「プレーを選ぶ権利は選手にある」というのだ。

 そういう観点で見ると、今大会最も輝いていたのはナイジェリア選抜だった。彼らは優勝も果たした。大会中、私も思わずそのことをTwitterでつぶやいたが、選手一人ひとりが自分の決断に対して100%のプレーを貫き、それを周囲が100%で支え合う姿は見る者を魅了した。だから、自然に成功すれば喜び、失敗すれば悔しがる。当然、経済格差から生まれる環境の違いもあるが、プレーを100%で楽しむことに格差は生まれない。そういうことが溢れ出てくる環境をナイジェリア選抜の監督をはじめ、チームスタッフ全員が選手のために作り出したからこそ彼らは思い切りプレーができ、それに集中できたから結果が出たのだ。ナイジェリア選抜が表彰式を楽しむ姿は、その場にいた人たちすべてを巻き込み、柔和な空気を作り出した。彼らは閉会式終了後、観客席に駆け寄り、スタンドの人たちとハイタッチし、自分たちを応援してくれた人たちに感謝の意を表した。それもまた解き放つことである。

 さらに、もう一つ記しておかなければならないことがある。それは視点は違うが、その「自分を解き放つ」方法を欧州の名門二つは自分たちらしく貫いたことだ。今大会、FCバルセロナとFCバイエルン・ミュンヘンは残念ながらベスト8で負けてしまったが、それでも彼らはこれ以上敗戦が許されない状況の中で「プレイヤーズ・ファースト」=クラブ哲学を貫き、全員に出場機会を設けていた。

 選手にとって自分を解き放つ最大の舞台はどこだろうか?

 それはピッチの上だ。しかも、公式戦の。そこも見逃してはいけない。特にジュニアだからこそすべての指導者が一人も見落とすことのないように、「選手の成長」を一番の目的とし、いろんな角度から考えて実行に移すことが求められるのではないだろうか。勝負を尊重しながらも、成長とわけて考えない。だから、チームに目を向けて、個々にも目を向ける。

 ここからは、あくまで個人的な意見だが、これからの日本は二極論から脱し、勝負と成長など両極にあるものをどうつなげていけばこれまでの成長方法をバージョンアップできるのかを考えていくべきだし、それに挑戦していくべき時期に来ている。それに多くの指導者が気づき立ち向かえば、日本サッカーは次のステージに上がる。

 きっと、それが遠くない未来に起こると、私は信じている。

>>10月の特集は、10月2日(水)から「イングランドの育成」をテーマに配信予定!


【9月特集】ジュニアサッカー取材備忘録


 

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