サッカーの母国・イングランドで導入されている「サポートメンター」とは?

2019年10月02日

育成/環境

コーチメンターの「ポール・ニアリー」氏

選手は指導者の鏡だからこそ学ぶことが大事

 ロボットを作らないこと。

 このことがイングランドサッカーを語る上で大切なキーワードではないかと、私は思っている。ポール氏の取材をしていると、話の節々に「イングランドの指導者はどう環境を作るのかを大事にしている」といった内容に関わるコメントが出てくるし、選手が主体的に学ぶ環境を作るために「人と人とが関わり合いを持つ」ことを意識しているという。

 彼らは指導者のアイディアをそのまま選手にやらせるのではなく、「自分たちの立てた目標に対してどうチャレンジさせ、失敗や成功を繰り返しながら成長させるか」を考えるかことを重視している。その証拠に「コーチメンターに大切なことは人をマネージメントする能力ですね」というと、「それが大きい。でも、それは人生においてそうですよね」と答えた。さらに、こうも言った。

「私のコーチ哲学は、サッカー選手として育てるだけでなく、人として育てること。その両方がないといけないと思っています」

 確かに、サッカーの知識は指導者にとって重要なパーツであることに変わりはない。しかし、人が人にサッカーを教える以上は、人間性の部分を切り離すことはできない。それをポール氏は「選手は指導者の鏡」だと例えた。だからこそ指導者も、サッカーを通じてどう人間性を高めていくかを問われているのではないだろうか。指導者が成長すれば選手も成長する。言い換えたら、指導者が成長できなければ選手も成長できない。彼はイングランドの指導者事情をこう話してくれた。

「一般的なことでいうと、教えた通りにしか指導できないコーチも(イングランドには)たくさんいます。きっと、そのあたりは日本と変わらないのではないでしょうか。ただ、私が思うのは『指導する時点ですばらしいこと』だということです。だからこそ自分たちが抱える選手に責任があるのだと思います。では、その責任とは何か。それは指導者として学んでいくことです。昔は試合の前に二列になってグラウンドを走らせることを行っていたけど、今それと同じことをさせていたら責任を果たせていませんよね。そういう面では、日本とあまり変わらない状況かもしれません」

 そして、「ジュニアの公式戦では、ベンチ入り資格にC級ライセンスを持っていることが必須です。イギリスでは、そういうルールがありますか?」という質問に対するポール氏の答えに、イングランドサッカーの奥深さを垣間見た。

「イギリスでは、チャータースタンダードというクラブの決まりがあり、その決まりとしては指導者がセーフガードや緊急措置の資格を持っていないといけないとか定められた項目があります。他にも、お父さんお母さんが子どもたちを見るところが決まっていたり、写真撮影が禁止であったり…選手を守るためにイングランドFAからクラブに課されたルールがあります。それを満たしているとどうなるか? 例えば、サッカーボールが支給されたりなどいろんな補助が受けられるような仕組みになっています。クラブもただビブスをもらえるから決まりを作って取り組むのではなく、それを満たさないとリーグに参加できなかったりするので真剣に前向きにクラブのこと、そして、選手のことを考えています」

 私はこれを聞いた時、「国全体で選手を育成することに真剣に向き合うからこそ環境づくりを大切にし、社会性を含めて人を育もうと取り組んでいるんだな」と感じた。それをポール氏に伝えると、彼はこう言った。

「正しいとか、間違っているとかではありません」

 きっと誰が正しいか正しくないかではなく、協会が間違っているか間違っていないかでもなく、その時代その時々で「今の選手たちには何が合っているのか、どうすればいいのか」を一人ひとりが考え、行動に移していくだけでないだろうか。もちろん、それぞれの国で変わらぬ哲学、指針は存在する。そういったことを「どう積み重ねたらいいのか」を知ることができるインタビューとなっているので、ぜひポール・ニアリー氏の言葉に耳を傾けてもらえたらと思う。

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【10月特集】イングランドのサポートメンターに問う


 
<プロフィール>
ポール・ニアリー(Paul Neary)
 育成年代ではU-16イングランド代表でキャプテンを選ばれ、プロではボルトンワンダラーズ、マンチェスターユナイテッドFC、ブラックプールでプレー。ケガにより引退後、指導者としてのキャリアをスタート。ノリッチシティレディース&ガールズFC、ケンブリッジユナイテッドアカデミー、マンチェスターユナイテッドFCのコーチ(現職)として実績を積む。2014年からスタートしたイングランドFA「コーチメンタープログラム」ではサポートメンターとして250名以上の指導者やチームをサポート。また、同FAでコーチインストラクターとしてレベル1・2などの講義で講師を務める。現在はイーストアングリア大学のサッカー事業担当長として、サッカーを通して学生の人材育成および大学の付加価値高めることに尽力している。また、マンチェスターユナイテッドFCでは主に海外のサッカーキャンプを担当。2018年のワールドカップ前にはアディダスが主催したサウジアラビアの代表チームのコーチ陣に対しての研修会が行われ、マンチェスターユナイテッドFCとレアルマドリードを代表してコーチインストラクターとして参加。

 

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