世界的なGKでも“致命的なミス”をしている? 欧州GK分析

2019年11月14日

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サッカーにおいて最後の砦となるゴールキーパーの役割は大きい。しかし、注目されるのはアクロバティックで派手なセーブばかりなのが現状だ。私たちはゴールキーパーについてどこまで理解できているのだろうか。“世界レベルのGKコーチ”ジョアン・ミレッが欧州でトップレベルとされるGK3人を徹底的に分析し、ゴールキーパーに対する見方を変える。

『フットボール批評 issue26』より一部転載

文●倉本和昌 監修●ジョアン・ミレッ 写真●Getty Images


ジョアン・ミレッ氏 監修『ジョアン・ミレッ 世界レベルのGK講座』2020/1/15発売!


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スーパープレーだけ切り取ってはならない

 ゴールキーパーの技術という視点で世界的に有名なGK3人のプレーを分析していきましょう。
 
 これは彼らがダメだということが言いたいのではなく、世界的に有名なGKでも技術的に知らないことによって、できていないプレーがいくつもあるということです。

 ビッグセーブをした、フィードがずば抜けて上手い、有名な監督が褒めているからという一部分を切り取っての評価ではなく、GKとしての総合的な評価、視点をみなさんにも持ってもらうことが目的です。

 世界的な問題は監督自身がGKのことを知らないので、すべてGKコーチに委ねてしまっていることです。今回の分析を一緒にやっていき、みなさんも「GKを見る目」をより細かいものにしてもらえれば幸いです。


①「前に出ることが正解ではない」
テア・シュテーゲン(バルセロナ)
ラ・リーガ第4節バルセロナ対バレンシア


 オフサイド気味で味方選手も一瞬止まってしまったプレーですが、これは逆に止まって対応するべきでした。GKが動きながら対応していいことは何一つありません。

 この時点で実は相手にとって角度はほぼなく、ニアは立っている場所で消せています。ここで止まっていればシュートは自分の右側にしか来ないので、そのボールに対応することで防ぐまたはシュートが外れる可能性がありました。

 しかし、止まることなくさらに相手に近づきに行ってしまった。もし、それが偶然足に当たって防いだら「スーパーセーブ!」だとみなさんはいうのでしょうが、意図的ではない偶然だということに気づくべきです。

 さらに細かく言うとそもそもポジショニングも左に寄り過ぎています。意図的にシュートを右側に打たすように空けているというかもしれませんが、基本的にシュートを打たせるのだとしたら広い方ではなく、狭い方へです。つまり仮に今よりも右側にポジションを取っていればファーのシュートが自然と消え、ニアへのシュートしか選択肢がなくなります。

 難しいのはそこまでの分析をGKコーチが行えているのかどうか、そうではないとしたら似たようなシーンで何度も失点を喫することになります。

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続きは発売中の最新号『フットボール批評 issue26』からご覧ください。


<プロフィール>
ジョアン・ミレッ
1960年11月1日生まれ、スペイン・カタルーニャ州出身。選手としてスペイン2部でプレ ーしたのち、1985年にテラッサ(2部)の育成GKコーチに就任。2000~2012年までゲルニカ(4部)のトップから育成までのGKコーチを務めた。2013年に来日し、湘南ベルマーレのアカデミーGKプロジェクトリーダーを経て、2017~2018年までFC東京のトップチームGKコーチ。現在はJFL奈良クラブのアカデミーGKダイレクター


ジョアン・ミレッ氏 監修『ジョアン・ミレッ 世界レベルのGK講座』2020/1/15発売!


【連載】「ジョアン・ミレッはGKを準備する」


批評11
【商品名】フットボール批評 issue26
【発行】株式会社カンゼン 
2019年11月6日発売

今号は 中毒性の高い“面白いフットボール”の正体を暴く。

「勝利に優る面白さなどない」と謳われてしまえばそこで話は終了する。フットボールがここまで繁栄したのは、合法的にキメられる要素がその内容にあるからではあるまいか。Jリーグウォッチャーであれば現在、横浜F・マリノスが快楽的なフットボールを求道しているのはお分かりであろう。

では、“面白いフットボール”を披露する境地とはいったい何なのか?
選手、コーチの目線を通して“ポステコ病”の全貌に迫る。


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