風間八宏が考える選手が育つ環境設定「自主トレの時間で選手たちは伸びる」
2021年03月03日
戦術/スキル川﨑や名古屋の指揮官を歴任した風間八宏氏が昨年12月、セレッソ大阪の育成部門となるセレッソ大阪スポーツクラブの技術委員長に就任した。これまで風間氏が育成において重要視してきたのは「止める・蹴る」の徹底追及である。では、トレーニングの仕組み作りをする上で重要なことは何だろうか。今月8日に発売となる『フットボール批評 issue31』から紹介する。
文●加部究 写真●Getty Images
議論の余地を残さない絶対なものしか作らない
大阪へやって来た風間は、自身の役割を「トレーニングの仕組み作り」と「そのための環境整備」だと考えている。
「子どもから大人まで選手たちに、どんな環境を与えると良くなるのか。どうすればトレーニングの質を上げ、選手を引き上げていく循環を生み出せるのか。そこを追求して、厳しくも楽しい場所を作っていきたいですね」
このレベルアップの大前提となるのが「止める、蹴る、運ぶ」という技術の徹底追及で、それは川崎や名古屋でも実践し、その効果を証明してきた。
「川崎では最初に指導者全員を集めて話しました。大切なのは、技術の基礎の部分で議論の余地を残さないことです。どっちでもいいというものは邪魔になる。言葉ならこれ以上砕けないところまで落とし込む。映像も誰が見ても判るものを作る。そしてデモンストレーション。さらに試合の中でも自分の目で確認できるか。とにかく絶対のものしか作りません」
揺るぎない正確なテクニックの定義を示せば、あとは選手たちが努力を始める。今まで指導したすべてのチームで、そんな光景を見てきたという。
「僕はどのチームでも自主トレの時間を設けていたんですが、選手たちは自分で何が必要かを理解すれば、受け身ではなく自ら努力するようになります。今まではグラウンドを走っていただけの選手たちが、どこかでボールを蹴るようになる。みんなそこで伸びてきたんですよ」
大島僚太などは、その典型例だという。
「僚太も最初は失わない位置にボールを置いていたんです。でもこれだと必ず一度持ち出さなくてはいけない。ボールを運ぶ時はここ、蹴る時はここ、と置き場所が異なったり、インサイドとアウトサイドで扱う時の止める位置が違ったりしたら、それは本当のテクニックとは言わない。でも僚太は、いつも一人で黙々と壁打ちを続けて本物のテクニックを身につけていった。本人の努力の賜物ですよ」
全文は『フットボール批評 issue31』からご覧ください。
【商品名】フットボール批評 issue31
【発行】株式会社カンゼン
【発売日】2021/03/08
【書籍紹介】
究極の2021Jリーグアナリティクス
Jクラブにとってコンセプトの5文字はもしかしたらタブーワードなのかもしれない。クラブのコンセプトをひけらかすことは、すなわち“秘伝のレシピ”の流出を意味する。もちろん、これはコンセプトという壺にタレが脈々と継ぎ足されているクラブに限った話ではあるのだが……。
コンセプトを一般公開できないとなれば、こちら側が様々な手法を使って分析していくほかない。なぜ、コンセプトの解剖にこれほどまでに執着するのかと言えば、抽象的にJリーグを眺める時代は終わりにしたい、という願望からである。そう、本質の話をしよう、ということだ。
今回は2021年のJリーグをより具体的に俯瞰できるように、J1・J2・J3のコンセプトマップを筆頭とし、補強からGKのコンセプトまで本質を抉る企画を揃えた。この「究極のアナリティクス誌」を携えれば、コンセプトなき“あのクラブ”が手に取ってわかるはず、だ。
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