欧州の育成組織ではどのようにプロへの道を切り開くのか。ザルツブルクのアカデミーが育成年代の選手に求めるもの
2021年12月20日
育成/環境前回の記事でも触れられた欧州屈指の育成機関であるレッドブル・ザルツブルク。ザルツブルクのアカデミーは選手たちにどのような能力を求めているのだろうか。『エクストリームフットボール 欧州の勢力図を塗り替える巨大ドリンクメーカーの破壊的戦略』から一部抜粋して紹介する。
『エクストリームフットボール 欧州の勢力図を塗り替える巨大ドリンクメーカーの破壊的戦略』
著●カラン・テージワーニ 翻訳●結城康平
(写真●Getty Images)
求められる高い認知能力
ザルツブルクは複数の教育施設とも連携している。例えばクリスティアン・ドップラー・ ギムナジウムという高等学校の時間割は、選手のトレーニングスケジュールと連動している。特にアカデミーが評価されている一つの要素が主とするトレーニングと補助的なメニューの組み合わせだ。レッドブルは同時にグローバルなネットワークをアカデミーでも活用している。彼らはブラジル、ガーナ、アメリカに提携するクラブがあるという強みを育成年代でも最大限に使っていくのだ。FIFAのレギュレーションによって若手の移籍には制限もあるが、レッドブルグループは選手の家族と「感情的に結び付いているイメージ」を共有することで、彼らの子どもがどのようにプロ選手への道を歩んでいくのかということを明確にしていく。
アカデミーの元トップであるエルンスト・ターナー(2018年にMLSのフィラデルフィア・ユニオンに加入)は、レッドブルの哲学についてSKYスポーツオーストリアに取材された際、次のようにコメントしている。
「選手に求められるのは高い認知能力だ。判断力に優れ、プレースピードが速く、ダイナミックにプレーするDNAに適応可能なプレーヤーである必要がある。また、信頼に足る人間である必要がある。そして選手たちは個性を活かしながら、毎日自分で定めた目標を達成していかなければならない」
ザルツブルクのユースで指導を経験し、イングランドのバーンズリーに引き抜かれたゲルハルト・ストルバーはザルツブルクにおけるコミュニケーションの重要性を次のように説明している。
「選手の振る舞いこそがゲームに最も反映するものだ。彼らの試合について直接会話し、オープンに選手と一緒に成長していくことを考えなければならない。どんなチャンスがあり、どのようなものが選手たちにとって必要なのか? 若い選手たちにはキャリアプランが必要だ。チームと個人、それぞれが目標を定めなければならないし、当然それを評価していかなければならない。例えば、2カ月後にどういった選手になっていたいのか? 4カ月後はどうか? ということを尋ねていくのだ。コーチとの関係性を良好に保つことは選手の成長における基本だ。単に放任しておくだけでは選手は成長しない」
全文は『エクストリームフットボール 欧州の勢力図を塗り替える巨大ドリンクメーカーの破壊的戦略』からご覧ください。
【商品名】エクストリームフットボール 欧州の勢力図を塗り替える巨大ドリンクメーカーの破壊的戦略
【発行】株式会社カンゼン
【発売日】2021/12/20
【書籍紹介】
アンチ上等! サッカー界の既成概念を「再配合」するレッドブル帝国の正体
衝撃的ともいえるそのスピードと徹底的なチームの献身性――。レッドブル・ザルツブルク、RBライプツィヒなどの背後に君臨するレッドブルグループは世界中のスポーツ界で勢力を伸ばしつつある。一方でピッチ外でも展開されるマーケティングによって利益を得ることに長けた彼らのアンチも少なくない。巨大エナジードリンクメーカーがなぜサッカー界に照準を合わせたのか、アンチも注目せざるを得ないその巧妙かつ革命的な戦略史を辿る。
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