子どもの「糖質カット」は危険! 集中力を高める食事の工夫とは?

2019年02月19日

コラム
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2月に入ると新チームが始動し、様々な準備が始まります。先輩たちと別れ、一つずつ学年が上がり、次の学年に向けて、身体的にも精神的にも準備をしなければいけません。そこで「集中力を高める」というテーマで、食事の面から管理栄養士の川上えり先生にアドバイスをもらいました。

構成●宇野美貴子 写真●ジュニサカ編集部


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糖質は脳を活性化させる

 サッカーの面でも勉強の面でも、「集中力を高める」ことはとても重要です。子どもたちが集中力を高めるためにできるサポートは、食事でも可能です。それは血糖値を上げて脳を活性化させることです。
 
 血糖値とは、血液に含まれるブドウ糖の量のことです。「ブドウ糖=糖質」といえば、最近は「糖質カット」「糖質オフ」などと敬遠されがちですが、そのブドウ糖は、脳の活動を維持するために大事な栄養素です。例えば、ブドウ糖が不足すると脳はエネルギーが作れず、頭がボーッとして集中力がなくなってしまいます。ですから、ジュニア年代の子どもたちにとって「糖質カット」はもってのほかです。何しろ脳のエネルギーになるのはブドウ糖だけなのですから。
 
 では、どうすれば血糖値を上げることができるのか?
 
 それを簡単にご説明します。私たちは食品を摂ると、まず口の中で咀嚼します。よく噛むことでだ液が分泌され、だ液中の消化酵素によって食品が分解されます。飲み込んだ後は、胃で胃液と混じり、胃や腸から分泌された消化酵素により、分解がすすみます。
 
 こうして分解された糖は、最終的にブドウ糖になります。ブドウ糖は、小腸から吸収されて血液中に溶け込みます。この血中に入った糖が血糖値として測定されるものです。血液中にブドウ糖が増えると、すい臓からインスリンというホルモンが分泌されます。
 
 インスリンというのは、食後の血中ブドウ糖濃度(血糖)の極端な上昇を抑え、血糖を下げるように働く唯一のホルモンです。インスリンは臓器細胞にブドウ糖を送ったり、ブドウ糖からグリコーゲン(貯蔵糖)が合成されるのを促したり、脂肪の合成を促したりします。つまり、インスリンはエネルギーを生成したり蓄えるために大事なホルモンなのです。

ブドウ糖

 しかし、血糖値の上昇が続き、インスリンが長時間多量に分泌されると、インスリンが血液中のブドウ糖を処理しきれなくなり、働きが鈍り、余分な血管内糖質が脂肪に変わります。これが糖質が敬遠されるようになった理由です。
 
 さらに、血糖値の上昇が続くと血糖値が下がりにくくなり、糖尿病を発症する危険性も出てきます。近年は、お父さんたちだけでなく子どもの糖尿病も増えていると言われ、警鐘が鳴らされています。子どもの糖尿病が増えた原因は、ジュースやお菓子などで糖を摂り過ぎるためと言われます。
 
 血糖値を上げることは脳を活性化させるためには大切なことです。しかし、糖を摂り過ぎてしまうのは問題です。また、血糖値が急激に上がったり、急激に下がったりすることは細胞膜にダメージを与えます。できれば食後血糖値の上昇と下降は緩やかな方がよく、長期間血糖値が激しく上がったり下がったりすることは、健康のためには避けたいことです。
 

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