サッカー母ちゃんの”まだまだ”ドタバタ日記「第29回 長男の雄叫び」

2013年10月24日

コラム

夏前のことです。

夜9時半を回ると、我が家の男たちが次々に帰ってくる時間で、
母ちゃんは台所でダッシュで夕飯の支度です。

その日はいつもより早く、自転車を止める音がしました。

「アー――っ!!」

長男の叫び声。おや? 今日の練習は、なにかうまくいったかな?
部活でいいサッカーができた日は、長男の第一声が、
「ただいま」でなく、元気な雄叫びなのですよ!

「おかえり」

「オレ、大会のメンバーに選ばれた!!!」

「ええっ!?」

「明日は学校の宿舎に前泊して、早朝バスで行く」

「へえっ、すごいじゃん!!!」

「でも、トップじゃないからさ。ま、オレの試合は練習試合だけどね」

トップチーム+サブチームで遠征し、公式戦のあとのフレンドリーに出る、ってことか。

でも、春の頃は、その下のチームにも入れてなかったんだから、すごいじゃないの

「テストで赤点のヤツがいたのかな? オレよりうまいやつ、いっぱいいるんだよ。正直、なんで選ばれたかわからないんだよね……」

そうは言いながらも、長男もウキウキ。

母ちゃんももうルンルン!
よっしゃ、もう一品おかずも作って、ワインでも開けようか!? なーんて。
長男が風呂に入っている間に父ちゃんが帰って来ました。

「あ~、今日は疲れたァ……」

「父ちゃん父ちゃん! 長男、大会メンバーに選ばれたって! サブみたいだけどさ」

「おーっ!!」

「やったじゃん! う~ん、意外に早かったなぁ。もっと苦戦すると思ったけどな。ホーラ、オレの言ったとおりじゃないか」

父ちゃんったら、疲れ切った表情があっという間にニコニコ顔に……。

「遠征か……、うーん、どうしよう、行けない距離じゃないなぁ。観に行きたいなぁ。あいつ、いいって言うかなぁ」

「さぁ?」

中学までは、サッカーの試合はできる限り追いかけて見に行っていました!

でも、高校に入って長男が壁にぶつかっているのを感じてからは、「自粛」していた父ちゃんと母ちゃんだったのです。

いやいや、試合を観に行くどころか、こっちからサッカーの話をするのも避けていました。

母ちゃんなんて、帰宅時の長男の第一声に神経尖らして、その声で、部活の様子を推し量ってましたからね!

風呂から上がって来た長男をつかまえて、父ちゃん、さっそく声をかけました。

「おい、選ばれたんだって? よかったな」

「うん」

「あのさ……父ちゃん、土曜日休みなんだよ、観に行っていい?」

「ダメ!」

ありゃ、ダメなのか。

「なんでだよ?」

「だって、オレら、練習試合だよ。公式戦じゃないし」

「えー、だって、観たいんだよ、おまえのサッカー……」

父ちゃんガックリ。

「いつになったら、観ていいんだよォ!」

駄々っ子みたいになっちゃった。

「もう少しうまくなったら! まだ、オレ、ヘタなんだ。トップチームに入れたら、観に来てよ」

「……そうか。わかった。トップに入ったらな! じゃ、とにかく遠征は思いっきりがんばってこいよ!」

「うん。がんばるよ!」

「おまえは、右サイドハーフ?左で入るの?……」

父ちゃんと長男は、そのまま、久々のサッカートーク突入。

……まだまだ、長男の試合を観に行ける日は遠そうだけど。

でもま、今日は乾杯だぁ!

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