育成現場のプロが語る成長期のカラダ対策「ケガに強くなるポイント、教えます」【前編】

2014年02月02日

コラム

スポーツをプレーする上で一番心配なのはケガ。果たしてケガに強い選手になるためにはどんな取り組みが大切なのでしょうか?

文●元川悦子 写真●編集部

※『ジュニアサッカーを応援しよう!Vol.16春号』P028-033より転載


サッカーの動きはうまいけど、他の競技の動きになるとぎこちない

 プロサッカー選手を見てもわかる通り、ケガをしやすい選手、しにくい選手はいる。ケガを繰り返す選手はキャリアに支障が出て現役生活が短くなるなど、マイナス面が多い。だからこそ、幼いうちからケガに強くなる体をつくっていく必要がある。

 ジュニア、ジュニアユース世代をケアしている専門家から見て、どういう選手がケガをしやすいのか。JFAメディカルセンターでアスレティックトレーナーを務める中堀千香子さんはこう話す。

 「最近の子どもたちを見ていると、自分の得意な専門競技(サッカー)の動きはスーパーなのに、それ以外の動作への反応がすごく鈍いんです。昔は相撲やおしくらまんじゅう、馬飛び、でんぐり返しなどの遊びから身体との協調や咄嗟の対応力を養うことができたのですが、今はそういう場がない。その影響で不器用な子が多いという印象を受けます。

 ひざや腰が痛いと訴えて受診される患者さんを診ても、骨や訴えのある部位には医学的に大きな問題がないのに、大腿部の筋肉がガチガチだったり、股関節周辺の筋力がないことで横方向の動きに極端に弱いケースがあります。サッカーなどのスポーツでは、前方への動きは競技の動作の中で自然と強化されていきますが、どうしても後方への動きや側方への動きはトレーニングをしないと弱い箇所に負担がかかる。ひざや腰そのものではなく奥に潜む問題が表に出てくるんです」

 昔のサッカー少年は、学校の少年団や部活で練習してそのまま家に歩いて帰るのが一般的だった。子ども同士でかけっこをしたり、荷物を持ちあったりと自然と体を鍛えたり、遊びからバランスや反応力を向上させる機会があった。が、今はどうだろうか。社会環境の変化が子どもたちの基礎的な運動能力の低下につながっているともいえる。こうした現状を踏まえ、最初から基礎的な運動メニューを取り入れるくらいの覚悟が必要だろう。

ケガコラム前編

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