「サッカーを練習している80%の子どもたちは、プロサッカー選手へと変貌を遂げる可能性がある」元バルサ育成統括コーディネーターが語る指導者に求められる資質とは

2015年11月06日

コラム

FCバルセロナのコンセプトをつくりあげたラウレアーノ・ルイス氏(元FCバルセロナ 育成統括コーディネーター)は、「サッカーの練習をしている80%の子どもたちは、プロサッカー選手へと変貌を遂げる可能性がある」と語ります。その言葉の真意とは。

(著●ラウレアーノ・ルイス 訳●高司裕也 写真●編集部)

『世界最高のサッカー指導書 バルセロナトレーニングメソッド』より一部転載


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「サッカーの練習をしている80%の子どもたちは、プロサッカー選手へと変貌を遂げる可能性がある」

 サッカーの指導は、1週間に一度行われるトレーニングから始まりました。このトレーニングの中ではボールは使われませんでした。選手たちがボールに触れることに疲れない状況を作るためです。その後、週1回から、週2回の練習へと移行しました。しかし、ここでも選手たちが、フレッシュな状態で、強く、激しくプレーできるようにと、ボールをトレーニングで使うことはありませんでした。

 現代でも言えることですが、どの時代においてもサッカーの世界で求められていた選手像は、頑強で、スタミナがあり、丈夫な選手でした。そのため、負荷の高いフィジカルトレーニングと持久力を高める長距離走を中心としたメニューが行われていたのです。

 こうした有害な考え方が消え去ることがない中、ある指導者グループが新たなトレーニングを開始しました。それは、従来の考えとは正反対の考えに基づいたトレーニングでした。選手たちに技術を習得させる、つまり、自身の身体を思い通りに動かすことと、ボールを自由自在に扱うことを学ばせたのです。

 トレーニングセッションの中で、ドリブルする技術、ボールをコントロールする技術、パスする技術、様々な姿勢でシュートを打つ技術を指導し始めました。短い時間ではなく、じっくりと指導を行うことで、多くの選手たちは高い技術を習得します。技術を洗練するためには、繰り返しのトレーニングが必要です。

 ところが、実際の試合では、試合の状況からかけ離れた状況で学習した技術を機械的に再現しようとしても、練習とは異なる対戦相手や状況に直面します。試合では、トレーニングで学習した動作の応用が求められ、質の高いサッカーを行わなければなりません。

 現代では、これらの2つの異なるトレーニングコンセプトに、さらにメンタルトレーニングが加わっています。メンタルの問題について語りたがる、まったく知識を伴わない指導者たちも存在します。この分野を無視し、科学すら信じない人たちもいます。

 しかしながら、ただ単に、モチベーション、リラックス、イマジネーション、集中力、といった要素だけに注目してトレーニングを組み立てたところで意味があるのでしょうか。

 サッカーの練習をしている80%の子どもたちは、プロサッカー選手へと変貌を遂げる可能性があるといってもおかしくありません。なぜなら、サッカー選手になる特別な資質が明確ではないからです。大切なのは、サッカーに対する並外れた愛情、トレーニング、いつもボールと一緒にいること、指導を熟知した指導者のもとでサッカーを学ぶことです。この見解は、私たちの指導経験に基づいたものです。

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