児童精神科医・渡辺久子先生「思春期の食事が“人生の骨密度”を決める」
2015年11月07日
コラム思春期を迎える子どもが、ホッとする親になるためにはどうすれば良いのか。今回は『思春期の子のこころがわからなくなったときに読む本』の著者である渡辺久子さん(児童精神科医)の言葉を一部抜粋して紹介します。
(著●渡辺久子(児童精神科医) 写真●編集部)
『思春期の子のこころがわからなくなったときに読む本』より一部転載
10歳から15歳までの時期に“人生の骨密度”が決まる
10歳から15歳の時期は、骨をはじめとする全体の臓器をしっかり作る大切な時期。子どもの体から大人の体に切り替わるときです。
たとえば骨を取り上げると、10歳からの数年間に、子どもは一生分の骨密度を急激に獲得します。男の子は10歳から16歳まで、女の子は少し時期が短く、10歳から14歳にかけて、摂取したカルシウムが集中的に骨に吸収され、生涯で最大の骨量に達します。それぞれのピークを過ぎると、吸収率は下がります。つまり、この数年間で子どもたちの“人生の骨密度”が決まるのです。
また、この時期には脂肪を取る必要があります。女性ホルモン、男性ホルモンは脂肪からできますが、性ホルモンを作るために、必要不可欠なのが脂肪です。特に女の子は、充分な栄養が摂れないと骨も作れず、子宮や卵巣も十分に育たず、最終的に出産をめぐりいろいろな問題が出てくることもあります。
思春期のお子さんを持つお母さんには、思春期のダイエットは有害であることを知っていてほしいですね。女の子はお母さんを真似て、ダイエットをはじめますが、この時期の女の子は太ることを気にせず食べてもらいたいと思います。しっかり体を作れるよう、お母さんは子どもにバランスの取れた食事を摂らせることを心がけましょう
<関連リンク>
・思春期の子育ては親子の関わりをみなおす時期
・思春期に変身する子どもの“ありのまま”から逃げない
・児童精神科医・渡辺久子先生が伝える『睡眠』の重要性
プロフィール
著者:
渡辺久子
児童精神科医。1984年、東京生まれ。慶應義塾大学医学部卒業後、同小児科助手、同精神科助手、小児療育相談センター、横浜市民病院神経科医長を経て、ロンドンのタビストック・クリニック臨床研究員として留学し、精神分析と乳幼児精神医学を学ぶ。2014年に世界乳幼児精神保健学会賞を受賞する。
【商品名】思春期の子のこころがわからなくなったときに読む本
【発行】株式会社カンゼン
【著者】渡辺久子(児童精神科医)
四六判/176ページ
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