「銀色の輝きを放つ」クロアチア代表・ラキティッチ。主役級の実力を持つ選手が見せる“変幻自在”のプレースタイル

2018年07月12日

サッカーエンタメ最前線
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ロシアW杯準決勝でクロアチアは延長戦の末にイングランドを2-1で下し、初の決勝進出を決めました。クロアチア躍進の原動力となっているのが中盤に君臨するふたりの“天才”ルカ・モドリッチ(レアル・マドリー)とイヴァン・ラキティッチ(バルセロナ)です。モドリッチは攻守にわたり存在感を発揮し「金色の輝きを放つ」選手。まさにチームの大黒柱と言えるでしょう。一方ラキティッチは“天才”でありながらモドリッチより目立った活躍を見せることはありません。しかし、そのプレースタイルこそラキティッチの真骨頂であり、クロアチア躍進の原動力でもあるのです。『PERFECT SKILL パーフェクトスキル 世界トッププレーヤーの究極スキルを解説する』から紹介します。

著●西部謙司 写真●GettyImages

『PERFECT SKILL パーフェクトスキル 世界トッププレーヤーの究極スキルを解説する』より一部転載


MOSCOW, RUSSIA - JULY 11:  Ivan Rakitic of Croatia reacts during the 2018 FIFA World Cup Russia Semi Final match between England and Croatia at Luzhniki Stadium on July 11, 2018 in Moscow, Russia.  (Photo by Michael Regan - FIFA/FIFA via Getty Images)

ラキティッチのプレースタイル

 生まれも育ちもスイス、U-17にはじまってU-21まではスイス代表だった。クロアチア紛争が起きる前に両親がスイスに移住していたからだ。父親と兄がサッカー選手という家庭でイヴァン・ラキティッチがプロ選手への道を歩んだのは自然の成り行きだった。

 7歳でバーゼルの下部組織に入り、2005年にトップチームに昇格。16歳のころにはヨーロッパでは知られた存在になっていた。2007年にドイツのシャルケ04へ移籍し、4シーズンを過ごした後にスペインのセビージャへ。3シーズンで117試合に出場して 27得点、13-14 はEL優勝に貢献した。このシーズンはキャプテンも務め、チームの中心として活躍した。

 ラキティッチは中盤ならどこでもプレーできる。正確なボールコントロールとパス、運動量もありコンタクトも強い。ゲームが読めて強烈なミドルシュートからの得点力もある。セビージャでは途中からポジションを1つ上げてトップ下でプレーしていた。このころのラキティッチは中盤でボールを受けて的確に散らし、ゴール前で得点に絡む仕事をする典型的なトップ下タイプにみえたものだ。

 2014年にバルセロナへ移籍した当初も、シャビ・エルナンデスの後継者という触れ込みだった。ところが、バルサでのラキティッチはプレースタイルを大きく変化させている。

 バルセロナに来た2014年の夏、ルイス・エンリケが新監督に就任している。ルイス・スアレスが加入し、メッシ、スアレス、ネイマールのMSNが結成されることになった。バルサには明確なフィールド上のヒエラルキーがある。フィールドの右側はシャビ、左はイニエスタの領域で、中央はメッシ。彼らの後方にブスケツがいる。

 この4人が主にプレーの決定権を持っている。どのようにプレーすべきかを心得ている4人でありチームの羅針盤となる選手たちだ。中でもパスワークにおいて最も重要なシャビの代役として右インサイドハーフに入ったラキティッチには、期待とともに不安も大きかった。

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