練習ではうまいのに試合になるとできない?

2012年05月22日

メンタル/教育

池上正さんが子どもに対する悩みや、保護者・コーチの子どもを取り巻く大人に関する疑問や悩みに答えるこのコーナー。今回のお悩みは「練習ではうまいのに試合になるとできない?」です。

◎練習(トレーニング場面での悩みやギモン)

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(質問者:小学5年生コーチ)

5年生のサブコーチをしています。ヘッドコーチの方はベテランで「基礎が大事だから」が口癖です。なので、コーンドリブルやリフティング、パス練習などをみっちりやります。そのおかげか、ボール扱いは上手です。
ところが、試合になって相手のプレッシャーがきつくなるとその技術が発揮できません。保護者からは「練習ではうまく見えるけど試合になると下手に見える」などと言われてしまいます。もう少し対人の練習をしたほうがいいように感じますが、ヘッドコーチの方がいらっしゃらず、練習を任されたときもつい、いつもと同じような練習をしてしまいます。
ヘッドコーチの方はそろそろ引退されるそうで「好きなように練習していいよ」と言われていますが、どうメニューを組み立てたらいいのか悩んでいます。

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ミニゲームを練習の前後にして、
クローズドスキルよりもオープンスキル

 ご自身も「対人メニューを増やすべき」と感じているようですが、まさしくその通りです。サッカーは相手のある対人スポーツなので、ディフェンスがいる状態で行うオープンスキルのトレーニングを軸にすべきです。でも、ほとんどのコーチがひとりで行うクローズドスキルを追いかけているのが現状のようです。

 私は小学生の練習を例えば1時間で組むとしたら、最初に20分ミニゲーム、次に20分のトレーニング、最後にまた20分間ミニゲームをします。京都サンガの育成コーチたちからは「想像できない」と言われましたが、千葉の市原市で行っていたプレーパークではいつもそのような組み立てでした。

 具体的にお話しすると、20分のトレーニングでは3種目のメニューを行います。長々と同じメニーを繰り返すよりも子どもはより集中して取り組めます。そして、それは2対1や2対2など、多くが対人練習です。練習の前のミニゲームは、足らない技術の確認や発見になり、最後のゲームはトレーニングで行ったことを実際にゲームで試す時間ととらえています。ですので、子どもたちにはゲーム中に「さっき練習でやったことを意識して」とか「さっきやったことを試してみよう」と声がけをします。ゲームに時間を割くのはサッカーの認知度を高める狙いもあります。

 また、そのなかで気をつけたいのは、あまりプレーをストップさせないこと。ピッと笛を吹いてプレーを止めて(フリーズと言います)、選手に動きや視野の持ち方を説明することは時に必要ですが、なるべく流れを止めずに声がけをしてください。「いま、どっち見てた? 左も見た?」と選手の気づきを刺激してあげたり「ナイスプレー! いいね」とほめたりすることで自信が生まれます。

 この手法は「シンクロ・コーチング」と呼ばれ、日本のコーチングでも「プレーの確保」が重要視されています。日本サッカー協会でもあまりフリーズさせずに、指導することを推奨しています。オープンスキルを意識して、ぜひ練習に取り組んでみてください。

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