団子サッカーをやめさせようとするコーチに疑問

2012年09月25日

コラム

池上正さんが子どもに対する悩みや、保護者・コーチの子どもを取り巻く大人に関する疑問や悩みに答えるこのコーナー。今回のお悩みは低学年のポジショニング指導についてです。

◎練習(トレーニング場面での悩みやギモン)

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(質問者:小学1年生の保護者)

小学1年生の息子がいます。この4月から近所のサッカーチームに入りました。毎週の練習を楽しみに子どもの成長を楽しみにしておりましたが、最近チームの練習の内容がどうもポジションをしっかり決めて、いわゆる団子サッカーをやめる練習の内容ばかりになりました。低学年の団子サッカーは自分から勝手にやめていくものだと思っていた私には無理やり手をとり団子を解体する指導方針が納得いきません。息子はまだサッカーをはじめて5ヵ月。この時期はまだどんどんボールに向かっていってほしい。それが将来のためだとも思っています。息子はコーチから言われれば、というような感じで、やろうとしてはいますが、意味が分からず混乱しているようです。小さいうちだけの指導方法の違いかと思いますが、小さいうちだからこそ大事なことだと思います。池上さんは低学年のポジショニングの指導についてはどうお考えでしょうか?

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少人数サッカーで
少しずつプレーを広げてあげよう

 「低学年は団子サッカーを経験させるべき」これは、以前から日本のジュニア指導で言われてきたことです。それ自体、私は正解だと思います。ただ、団子サッカーを卒業するプロセスに問題があるように思います。

 相談の方は、子どもは自然と広がってパスを回しだす、ととらえていらっしゃるようですが、日本では多くの場合、大人がポジションを教え込むことが多いようです。「君はディフェンスのポジションだから、後ろで守るんだよ。ゴールに上がっていってはいけません」とか、「君は右サイドだから右にいて」といった指導です。これでは、目の前にスペースを見つけたらチャンスととらえ上がっていく、味方の守備が危ういと察知すれば前線から走って戻るといった力が養われません。
  私の低学年指導は、団子サッカーに固執しません。サッカーを本当にわかっている人が、小学1年生に対して団子ではないサッカーの本質を教えているのなら良いのです。
 「誰が一番条件のいいところにいるかな?」とか「誰が一番シュートを打ちやすい場所にいるかな?」といったことを、子どもに問いかけながらイメージさせていきます。要するに、攻撃の成り立ちを頭と身体にしみ込ませていく、そんな作業は低学年から行うべきだと私は思います。

 ただ、このような指導は8人や11人制ではできません。例えば、ドイツの子どもは低学年でも見事なパスワークを見せます。これは4対4や5対5といった少人数制で、狭いスペースだからこそトレーニングが可能なのです。自分以外に3人ないしは4人の動きを意識すればよいので、トレーニングが成立します。11人対11人では成立しません。団子であるかどうかはさておき、低学年に8人制や11人制のサッカーはあまり意味がないと考えざるを得ません。

 低学年でそういったトレーニングを経験していない子どもたちは、どうなると思いますか? 3~4年生になって公式戦が入るようになり8人制の試合を行うと、ただ自分の決められたポジションにいるだけ、といった子が非常に多いようです。

 ですので、大人たちが子どものプレーを広げる指導をしなくてはいけません。ミニゲームは4対4で行う。団子になっていれば、少しずつパスコースや味方がいることを学習させるアプローチをする。それはイコール、低学年のポジショニング指導になります。

 以上が、私のポジショニング指導についての考えです。

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