コラム

池上コーチの一語一得「俊足なのに試合に出られないため移籍させたい」

2013年07月09日

池上正さんが子どもに対する悩みや、保護者・コーチの子どもを取り巻く大人に関する疑問や悩みに答えるこのコーナー。今回はスピードもあり技術もあるお子さんが試合に出してもらえない状況に悩む保護者の方からのご相談です。

◎自宅(ピッチ外での子育ての悩み)

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(質問者:小学6年生の保護者)

小6の息子が、地元のサッカーチームに所属しています。足は、速く学校でも1位、2位を争うほどです。サッカーの技術も他の子と遜色なくやれていると思います。ですが、監督の考える戦力にはなっていないらしく、試合に出してもらえません。私としては、実戦を積んで少しでも上手くなってもらいたいと望んでいます。
息子に移籍の話をすると、チームメイトを気にするのと、時期的にも今さら移籍をするのは嫌だと言います。中学入学まで期間もあまりありませんし、このまま卒業を迎えるのも本意では、ありません。どのようにしたらいいでしょうか?

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試合に出られないことは成長するチャンスにも
足らない部分を話し合おう

実際にピッチの中でサッカーをしている息子さんは、現時点での自分の実力を知っていると思います。息子さん自身が「移籍は嫌だ」と言うのは、チームや仲間にある程度満足しているのと、試合に出られなくてもサッカーをする環境にはあるからだと思います。

それに、試合には出られないけれど、成長するチャンスは与えられていると考えられませんか?

例えば、俊足を生かそうと他のチームに移籍して試合に出られたとしましょう。でも、スピードだけで突破していくばかりで技術はもしかしたら磨かれないかもしれない。今の環境は、スピードがありながら試合に出られないわけなので、自分に足らないところはどこだろうという宿題を与えられています。

試合に出られないことを100%マイナスに考えず、自分がひと伸びするためのチャンスを与えられているのだと考えれば日々のトレーニングのモチベーションも上がることでしょう。

ぜひとも、前述したようなことをアドバイスをしてあげてください。「今の状況をプラスにするためにはどうしたらいいかな?」と。まだ小学校6年生。どこで伸びるかわかりません。「試合に出るために、自分のできることを最大限に頑張ってる? ほかにできることはない?」と問いかけましょう。

「中学入学まで期間もあまりありませんし、このまま卒業を迎えるのも本意では、ありません」とありますが、本意でないのは親御さんですね。親御さんがサポートできるとしたら、嫌だという息子さんを無理やり移籍させることではなく、息子さんと「今何ができるか」ということをじっくり話してみることだと思います。

プロフィール

池上 正(いけがみ・ただし)

1956年大阪生まれ。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼年代や小学生を指導。02年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。同クラブ下部組織の育成コーチを務める。03年より小学校などを巡回指導する『サッカーおとどけ隊』を開始、千葉市・市原市を中心に190カ所におよぶ保育所、幼稚園、小学校、地域クラブなどで延べ40万人の子どもたちを指導した。2010年1月にジェフを退団。同年春より「NPO法人I.K.O市原アカデミー」を設立。理事長としてスクールの運営や指導、講習会、講演をこなすかたわら、大学や専門学校等で講師を務めている。2011年より京都サンガF.C.アドバイザー、12年2月より京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターに就任。08年1月に上梓した初めての著書『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(08年・小学館)は、11年12月現在で7万部に迫るベストセラー。11年9月には指導現場で、その実践例を大公開した『サッカーで子どもの力をひきだす オトナのおきて10【DVD付き】』が発売。U-12の育成に携わる指導者や保護者には必見のDVD付き書籍となっている。

近刊情報

『サッカーで子どもの力をひきだす オトナのおきて10【DVD付き】』

指導者や保護者から多くの支持を得ている『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』の著者・池上正氏が普段からよく使う象徴的な言葉(フレーズ)を取りあげながら、どのように子どもと接すればいいのか、言葉をかければいいのか、子どもとの距離のとり方……子育てやサッカー指導に悩む方々の具体的な解決策として、 “オトナが守るべき10のおきて”を伝授します。

VOL44

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