コラム

池上コーチの一語一得「ベンチ生活の息子の姿に心が折れて……」

2013年09月03日

池上正さんが子どもに対する悩みや、保護者・コーチの子どもを取り巻く大人に関する疑問や悩みに答えるこのコーナー。今回は中学生になったお子さんについてのご相談です。

◎自宅(ピッチ外での子育ての悩み)

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(質問者:中学1年生の保護者)

中学1年の息子のことです。小学1年から町のチームに所属しておりました。6年間なんだかんだと、理由をつけられてほとんどの試合をベンチで過ごしました。練習も休まず本人なりに頑張ってやってましたが、確かに、体も大きくはないし、はっきりいって上手!という子ではありません。
中学になり、サッカー部に入りましたが、やはり同じ状態です。他の1年生は試合に出してもらえるのに、息子だけは1試合も出ず、ずーっとベンチ。親として、毎回応援に行っておりましたが、かなり心が折れてしまっています。どこがそんなにダメなのか。確かに技術は……ダメです。私が見てもセンスがないと思います。本人の気持ちとしても、いままでかれこれ6年間ベンチ生活を送っているのでもう「頑張ろうという気持ちも起きない」ということです。中学でも、3年生が引退したら、ぎりぎりの人数になりますが来年新しい1年がはいったら、卒業までベンチなような気がします。辞めてしまえばいいのかもしれませんが、親としては下手なりに頑張ってほしい思いで強制はしていません。もう中学生。嫌ならはっきり言ってほしいと思っていますが、どうやって見守るべきでしょうか。

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何よりもそっとしておくこと。
子どもの気持ちを聞いてみよう

「他の1年生は試合に出してもらえるのに、息子だけは1試合も出ず、ずーっとベンチ。親として、毎回応援に行っておりましたが、かなり心が折れてしまっています」
 この一文だけで、相談された保護者の方(お母さんでしょうか)の気持ちがよくわかります。せっかく応援に行ってもわが子が試合に出ないのではがっかりしますね。試合に出られない息子さんの姿を見守るのが耐えられないのでしょう。実力を勝手に判断してしまい、マイナス思考に陥りがちです。
 こういう場合は、そっとしておいてあげることです。試合に出られないことで親御さんが辛いのであれば、無理に行くことはないと思います。そのうちに、お子さんが「来て欲しい」と言えば、観に行けばよいでしょう。ましてや中学生ですからここで親がやることはただ見守るだけ。試合に出たいのに出られず、一番もがいているのは子どもですから。見守るということは、サッカーの話もしない、そっとしておくということです。
 ただし、お子さんが迷っていたり、前向きに取り組めないようであれば、少し気持ちを聞いてあげてもいいでしょう。
「将来的にサッカーをどう考えている?」
「もっと上手くなりたいと思ってる?」
そのように問いかけてみてください。サッカーは親のためにするわけではなく、自分がやって楽しいから、もっとうまくなりたいといった目標があって取り組むものですね。また、子どものほうから「サッカー、どうしようか?」と相談してきたら、「どうせ試合に出られないし」などと言うのではなく、「他にやりたいことはある? 探してみる」などと大人の態度で対応してあげてください。

プロフィール

池上 正(いけがみ・ただし)

1956年大阪生まれ。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼年代や小学生を指導。02年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。同クラブ下部組織の育成コーチを務める。03年より小学校などを巡回指導する『サッカーおとどけ隊』を開始、千葉市・市原市を中心に190カ所におよぶ保育所、幼稚園、小学校、地域クラブなどで延べ40万人の子どもたちを指導した。2010年1月にジェフを退団。同年春より「NPO法人I.K.O市原アカデミー」を設立。理事長としてスクールの運営や指導、講習会、講演をこなすかたわら、大学や専門学校等で講師を務めている。2011年より京都サンガF.C.アドバイザー、12年2月より京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターに就任。08年1月に上梓した初めての著書『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(08年・小学館)は、11年12月現在で7万部に迫るベストセラー。11年9月には指導現場で、その実践例を大公開した『サッカーで子どもの力をひきだす オトナのおきて10【DVD付き】』が発売。U-12の育成に携わる指導者や保護者には必見のDVD付き書籍となっている。

近刊情報

『サッカーで子どもの力をひきだす オトナのおきて10【DVD付き】』

指導者や保護者から多くの支持を得ている『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』の著者・池上正氏が普段からよく使う象徴的な言葉(フレーズ)を取りあげながら、どのように子どもと接すればいいのか、言葉をかければいいのか、子どもとの距離のとり方……子育てやサッカー指導に悩む方々の具体的な解決策として、 “オトナが守るべき10のおきて”を伝授します。

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