日本、そして世界各国を見てきた指導者が語る育成現場に必要なこととは? 多くの子どもたちと指導者を育てた「クーバー・コーチング」のメソッドに迫る
2013年10月15日
コラムある意味日本の環境は恵まれている
――では、日本と比べ現在の海外の育成事情はどういったものでしょうか?
日本と比べた際、海外はまず施設が充実しているという利点があります。ドイツ、スペイン、イングランドどこへいっても天然芝のピッチがたくさん存在しています。もうひとつがサッカーに関わるメディアが非常に充実していることです。日々、サッカーの情報が得られる恵まれた環境があります。スター選手が朝食に何を食べているかなど、それくらいまで、つまびらかに分かるというメディア環境があります。
また、海外には多くのコーチがいます。例をあげるとスペインでは、Aライセンス、日本でいうS級ライセンスの指導者たちですね、彼らが3万2000人もいます。しかし、トップチームで指導ができる人数は決まっていますから、残りの人たちがグラスルーツへと下りてくるんです。そこで質の高い指導がなされます。ドイツも同じような状況です。レベルという点で決して日本を卑下したものではないですが、しっかりとした教育を受けたコーチが日本に比べ、それだけ多いということです。日本でも質の高いコーチは増えてきましたが、このスペインの3万2000人という数にはまだ及びません。
それとプロの育成に目を向けると、まず7~11歳、12~16歳、17~21歳という3つのカテゴリーがあります。個人的な意見ですが、私は世界最高峰のリーグをイングランド・プレミアリーグだと思っていて、そこを例にあげますが、子どもが7、8歳で下部組織に入ってきて、だいたい17~21歳の間でプロの契約をします。ただその時点でプロの契約を結べるのは約7%の選手だけですね。そのカテゴリーで本当にベストな選手しか上にいけません。つまりヨーロッパでプロになるのはどれだけ難しいかということです。これが現実です。
特にプレミアリーグで難しいのが、外国人選手の割合が67%と非常に多いということです。Jリーグのプロのクラブではそこまで外国人の割合は高くありません。ですので、ある意味、プロになるという部分では日本の方が良い状況にあるということが言えるかもしれません。まあ、20年前はこんなことを考えることはなかったですし、ヨーロッパと比較さえしなかったと思いますので、こういう話がでることこそ日本のサッカーが成長したという証だと思います。
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