チーム動画紹介第43回「BANFF横浜ベイ」
2008年01月28日
未分類心身ともに自分を磨き、次のステージへ
今回は神奈川県横浜市で活動しているBANFF横浜ベイのジュニアユースにお邪魔しました。かつて、ヴィッセル神戸でプレーした経験をもつ、代表の波戸善行(はと よしゆき)さんにお話を伺いました。
「BANFF横浜ベイ」ってどんなチーム?
BANFF横浜ベイは、2002年の4月に小学4年生から6年生までを対象としたサッカースクールとして設立しました。このジュニアユースのクラブチームは翌年の4月に誕生しました。
現在、ジュニアユースのメンバーは55名です。スクールの小学生を入れると300名くらいの規模になります。 コーチ陣は、私を含めて3名の体制です。2006年の11月にオープンしたばかりのフットサル場で平日練習を行い、土、日、祝日は、学校や公園のグラウンドで練習や試合を行っています。メンバーの3分の1は横浜市内から通っていますが、残りの3分の2は、東京都大田区や川崎市などから通っています。
なぜジュニアユースのクラブを設立したのですか?
ジュニアユースの年代は、指導者が不足していると感じていたからです。私は、決して一流のサッカー選手ではありませんでしたが、それでもJリーグでプレーできたのは、高校の時に受けたレベルの高い指導によるところが大きいんです。もし中学世代から、しっかりとした指導を受けられていれば、もっと上達したのではないのか、と感じたわけです。
この年代はサッカー以外にも、さまざまな問題があると思いますが?
やはり思春期なので、いろいろな悩みがあると思います。実際に相談も受けますし、問題も起きたりします。身体の変化とともに、精神的にも不安定になって、せっかく練習に来ても、ふてくされた態度であったり、フラストレーションの溜まっている子もいます。
BANFF横浜ベイは「サッカーの好きな子が、次のステージで頑張るために自分を磨くクラブ」というのがコンセプトなんです。だから、子どもたちには、「ここで無駄な時間を過ごすのなら、お金も時間もかからない部活にいったほうがいいよね」ということを説明して、気持ちを切り替えさせるようにしています。
勉強とサッカーの両立は難しいのでしょうか?
このクラブは、1番が勉強です。サッカーは2番です。サッカーが1番であっても良いのですが、まだ学生なんですから、まず勉強をしっかりとやる。サッカーをやっていて勉強ができないとか、勉強をやっていたからサッカーができないなんて、言い訳です。一生懸命に頑張っても成績が悪いのは、学力の問題だから仕方がありませんけれども、やらないで成績が悪いのだったら、やらない子が悪いのだから、それならサッカーをやめて、勉強をやったほうが良いんじゃないかと厳しく言うこともあります。
サッカー強豪高校への進学はありますか?
BANFF横浜ベイでは、中学3年生になると、高校生と対戦する機会を多く設けています。最初は通用しませんが、徐々に順応していく姿を高校の指導者に見ていただいて、伸びている選手をピックアップしてもらいます。
2007年の高校選手権に神奈川県代表として出場した日大藤沢高校に推薦入学したり、逗葉高校など神奈川県内の強豪高校にも進学しています。県外では私の母校でもある兵庫県の滝川第二高校に推薦入学が決まった子どもがいます。ただ、親元を離れて県外に出て行くのはリスクも多いので、親御さんも含めてよく話し合う必要があります。学業との両立や金銭的な負担もありますが、何よりも、自分のプレーが通用しなかったとき、試合に出られなくても、それでもサッカーを一生懸命続けられるのかということです。
練習で重視していることを教えてください。
ボールをもったときに能力を発揮できるように技術を鍛えることです。ボールをとめる、蹴る、運ぶ技術です。なかでも、局面を打開することのできる「力」としてドリブルは重要視しています。相手のプレッシャーをかわす、相手を突破することのできる選手を目指しています。
優れた選手は、ボールをキープできます。ボールをもつ余裕があるから、良いパスが出せます。余裕があるからこそ良い判断ができて、素晴らしいプレーに繋がります。その余裕をもつために、技術を磨かなくてはいけないんです。
技術は、ゴールデンエイジ(小学校5~6年生)で最も身につくと言われていますが、 ジュニアユースの年代になってからでも間に合うのでしょうか?
やはり一番伸びるのは、小学5~6年生のゴールデンエイジです。中学1年生で基礎が身についていなければ、追いつくための努力をするだけです。遅いということはありませんよ。大人になってから練習しても身につかないかと言われれば、そうではないでしょう。ただ、時間はかかりますよね。根気強くやらないといけないです。
BANFF横浜ベイの夢、目標はなんですか?
みんな、いつまでも、ずっとずっとサッカーに関わっていて欲しいですね。プロの選手になれなくてもアマチュアだっていいんです。私自身、サッカーを通じて、いろいろな人と出会うことができました。たくさんの経験をし、学び、そして成長したのも、全てサッカーを続けていたからこそのことなんです。
編集部コメント
「うちのクラブは小柄な子が多いんですよ。私自身も小さいですし、足が速いわけでも、あたりが強いわけでもありません。でも、プロのサッカー選手になれたんです」と話していたように、小柄な波戸さんがJリーガーになれたのは“ボールをもつことのできる技術”を磨いたからこそ。
1月14日に行われた全国高校サッカー選手権大会の決勝戦。流通経大柏のエース大前君、藤枝東のエース河井君は、ともに160センチ台の小柄な選手ですが、彼らが国立のピッチで活躍するために身につけていたのは“ボールをもつことのできる技術”でした。波戸さんの指導を受けたBANFF横浜ベイの子どもたちもまた“ボールをもつことのできる技術”を武器に、ユース年代の舞台へと羽ばたいて行くことでしょう。
(ライター 山本 浩之)
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