「下手だからやめろ」と言われる息子

2012年10月23日

メンタル/教育

池上正さんが子どもに対する悩みや、保護者・コーチの子どもを取り巻く大人に関する疑問や悩みに答えるこのコーナー。今回のお悩みはサッカーが上手くないと感じている息子への親の対応についてです。

◎自宅(ピッチ外での子育ての悩み)

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(質問者:小学4年生の保護者)

 小学4年生の息子がいます。地元の少年団でサッカーをしており、身長は6年生並みに大柄ですが、すばやく動けるタイプではありません。チームメイトで上手な子から、大人がいないところで「そんなに下手ならやめたら」と言われているようです。でも子どもは悩みながらも休まず続けています。親としてはどういう態度をとればいいでしょうか?

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正しい価値観を伝えて
「サッカーが好きだからやめない」と言える強さを

 ひと昔の親ならば「そんなこと言うヤツが下手くそや!」とか「気にするな!」と言って終わったのでしょう。でも、今はそれだけではなかなか解決しません。難しい時代になりました。

 まずは、お子さんに「君はどう感じているの?」と気持ちを聴いてあげましょう。そして、お子さんには「言われたら言い返せるといいね。少し強くなれるといいね」と話してあげるとよいでしょう。「強くなれ!」の命令口調ではなく、あくまでお父さんやお母さんが「強くなってほしい」と願っていることが伝わればいい。そのうえで「コーチに相談してみたら?」と促してもよいですね。
 サッカーチームで起きていることは、コーチの責任ですから。コーチの方が目くじらを立てて叱るのはいいことです。上手い子も、下手な子もみんなが楽しくプレーできるよう、分け隔てなく接してくれるよう働きかけてくれるといいですね。

 いじめが起きると、大人たちは異なる反応をする2派に分かれるようです。片や、「今の子は弱いのだから大人が守ってあげなくては!」という方と、「いじめられる子にはいじめられる理由がある。もっと強くならなくては!」という二つのタイプです。が、私はそのどちらにも属しません。

 では、どうするのか。正しい価値観を伝えられる大人でいたいと思います。
 私は30年以上、それぞれの時代の小学生を見てきましたが、子どもは「下手な子が出ると負ける!」と平気で言います。そのことは実は、大人がお腹の中で思っていることで、大人だから口に出さないことです。

 でも、そこで、大人だからこそ「下手な子でも試合に出る権利があるよ。一緒に練習してきたんだから。みんなが試合に出たほうが、みんなが楽しいでしょ」と言ってあげたいもの。ですので、お子さんにはそんな価値観をきちんと伝えてください。「やめろ」と言われても「サッカーが好きだからやめないよ」と言える、もしくは口に出さなくてもそんな気持ちを持ち続けられる強さを身につけてほしいのです。

 相談の方も、そこを伝えてほしいと思います。子どもを庇護するのでも、突き離すのでもなく。全力で伝えてください。ただし、息子さんが「他のチームでやりたい」と言い出したときは、協力してあげてください。好きなサッカーに気持ちよく取り組めるよう、新たな環境を探すことに切り替えましょう。

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