親が未経験者なので教えられない
2012年11月13日
コラム池上正さんが子どもに対する悩みや、保護者・コーチの子どもを取り巻く大人に関する疑問や悩みに答えるこのコーナー。今回のお悩みはサッカー未経験者の保護者のコーチングについてです。
◎自宅(ピッチ外での子育ての悩み)
(質問者:小学4年生の保護者)
息子は今クロスをあげられるようになりたいようで、何度も練習するのですが、うまくボールをあげることができず、よく悔しがっています。私はサッカー未経験者なので教えることはできませんし、子どもが自分で考えて行動するのが一番だと思っています。
「できるようになりたいよね。できるようになりたいと思う気持ちは素敵なことだし、焦らなくて大丈夫だよ。少しずつうまくなっていると思う! ボールにたくさん触って練習してるうちに、できるようになると思うよ。」
と言ってはみたのですが、公園の帰り道はずっとご機嫌ななめでした。
そのままそっとしておいているのですが。
言葉を選んで話すようにしているのですが、私の声掛けがまずいのでしょうか?
それともこのまま見守っていれば大丈夫でしょうか?
「コーチに聞いてみたら」と促して。
遠くに蹴るより、正確に蹴ることが先決
ご相談の方はとても真面目で、何とか子どもの役に立ちたいと願っているようです。お気持ちはよく理解できますが、そんなに落ち込まなくても大丈夫。黙って練習に付き合って球拾いなどをしてあげるだけでよいのです。
息子さんのように、技術的なことで悩んだり「こうなりたい」という目標があるのなら、子どもがコーチに自分で聞きに行くのが基本だと思います。ぜひ正直に「お父さんはサッカーをやったことがないから、わからないな。コーチに聞いてごらん」と話してみましょう。「自分が教えなくては!」とそんなに躍起にならなくても良いのです。子どもに寄り添う親には、親なりの役目が別にあると思います。
ただし、クロスボールについてひとつお話ししておくと、私は4年生で浮き球のクロスをあげる必要はないと考えています。9歳や10歳のカテゴリーでは、ゴール前に高々と上がったクロスボールを上手に処理できる子は非常に稀です。
時折、キック力のある子がドカンと蹴って、ゴールの前をボールが逆のサイドラインを超えていく光景が見られます。コーチは「ナイスボール!」と声をかけている場合が多いのですが、そのクロスからゴールが生まれるとは思えません。無意味とまでは言いませんが、私がコーチなら「遠くに飛ばすよりも、正確に味方にパスをしたほうがいいんじゃない?」と子どもに尋ねます。
まずは、グラウンダ―で正確に味方にパスできるようになることが先決です。ボールにカーブをかけたり、遠くに飛ばすことは、その後でよいと思います。
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