サッカーの技術的指導にとどまらない 世界最強クラブFCバルセロナの育成組織
2012年12月07日
サッカーエンタメ最前線バルサが教える人としての義務
ヨハンはアヤックスで14歳から15歳の間、靴磨きであり、ロッカールームの管理人であった。彼の父親はその2年前に亡くなっており、クラブは心を込めて彼を迎え入れた。幼い頃から全ての技術と同様に、義務が教えられた。そこで受けた教育は、クライフにとって忘れられないものとなった。
「バルサのトップチームの監督としても、アヤックスと似たようなことを行なった。例えば床へ直接、ユニフォームを脱ぎ捨てる選手たちがいたが、ユニフォームを籠に入れるよう指示した。年配のスタッフたちが、床に屈みながら拾わなければならないからだ。自分たちを助けてくれる人たちのように、彼らのことも助けてあげなさいと伝えた。それらのことは、例外的な事項ではなく至って普通のことだ。私は、そのように教育された。思いつきではない、これが教育なのだ」
少し前に、カンテラ(バルサの下部組織)の有望選手との間でも似たようなことが起こった。彼は飛び級したことで注目を集め、カタルーニャ代表やスペイン代表にも招集された。その子はあるスポーツメーカーと1シーズン6000ユーロの契約書にサインをし、調子に乗り始めた。母親に「学業を辞める」と伝えたのだ。心配した母親は、クラブに助けを求めてきた。クラブは彼を呼び出し、彼自身の決定と母親への態度から、カンテラの最も下のチームへ降格させた。最初の週、彼は、ベンハミン(8歳~10歳)の子供たちと練習しなければならなかった。そこは、彼がプレーしていた場所から5、6カテゴリーは下だった。バルサからはスペイン代表とカタルーニャ代表監督にも話を伝え、彼を招集しないことで合意に至った。同様に、契約中のメーカーも、彼が学校の単位に合格するまでシューズやジャージなどを渡さないことを容認した。措置は6週間続き、その子にとっては忘れられない教訓となった。1週間ずつ、彼は自分の元いたチームへ戻るまで、一つずつカテゴリーを上がっていった。彼はその後再度代表監督に招集され、プロ契約は目の前まで来ている。
※『FCバルセロナの人材獲得術と育成メソッドのすべて チャビのクローンを生み出すことは可能なのか』より抜粋
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この続きは『FCバルセロナの人材獲得術と育成メソッドのすべて チャビのクローンを生み出すことは可能なのか』(12月14日発売)をご覧ください。
■プロフィール
浜田 満(はまだ・みつる)
1975年奈良県生まれ。株式会社Amazing Sports Lab Japan代表取締役。関西外国語大学スペイン語学科卒業。自身も高校時代までサッカーに打ち込む。現在はスペイン、イタリア、英語の三か国語を操り、FCバルセロナ、ACミラン、アーセナル、ユベントスなどの欧州ビッグクラブのライセンスビジネスやマーケティングに携わる。久保建英君のマネジメント業務をはじめ、サッカーサービス社と指導者クリニック、選手コンサルティングを行なうなど、現在は選手育成業務に力を入れている。著書に『サッカービジネスほど素敵な仕事はない』(出版芸術社)。
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