普段のトレーニングにフットサルを取り入れることは必要!? ジュニア年代の指導を考える【前編】

2013年12月02日

コラム

駆け引きのテクニックは足技だけじゃない!

それでは、広山氏の話す“フットボール”での「駆け引き」とは、具体的にどういったものなのだろうか。

「相手との駆け引きのなかには、ボールを扱う技術の他にも、味方の選手を使うことのできる技術も含まれています。相手をかわすには、ドリブルやフェイントを仕掛けるばかりではなく、味方の選手を使って抜け出すことが効果的なときもあります。この使い分けができるようになれば、ゴールエリアの狭いところでもプレッシャーを感じることなくプレーをすることができて、すごく自由で楽しいサッカーができるんじゃないのかなって、僕は思います」

実際に、エスポルチ藤沢の試合では、狭いエリアでも、果敢に仕掛けていく選手がいる。また、相手ゴールエリアの密集したところをドリブルで仕掛けてもいいし、自陣のゴール前に攻め込まれたときにも、大きく蹴りだしてクリアをすることなく自分でボールを持ち出そうとしても構わない。

「まだまだドリブルといったらそれだけになってしまっているかもしれません。相手のチームからはボールの持ち過ぎと映るかもしれませんね」と笑うが、駆け引きの成功や失敗を経験させることで、成長していくという確固たる考えが広山氏にはある。

「自分に自信があるからこそ、選択できるプレーだと考えています。自信のあるプレーをして、相手に潰されたとしたら自分で『どうしよう?』と考えるでしょう。もし、繰り返しチャレンジをするようならば、相当悔しくて『今度こそ!』という思いがあるのかもしれませんし、次は仕掛けるとみせてシンプルにワンツーのパスを使って抜け出すかもしれない。そうやって、選手が試合のなかで駆け引きを経験することで成長していく。僕らはそういう風に見ているんです」

チャレンジをした結果として、得点に結びつくかもしれない。ボールを奪われて失点に繋がるかもしれない。それでも指導者は辛抱強く、その様子を見守る。そして、大切なことは、決して教えすぎないこと。

「僕は子どもたちによく『アコーディオン・オルガンのようなプレーをしてみよう!』って言うんです。あの楽器が、蛇腹を開いたり閉じたりしながらメロディーを作っていくように、サッカーも閉じたり開いたりを織り交ぜながらゲームが作られていきます。たとえば相手がサイドに開いてポジションをとっていったら、中央にスペースができます。だから、今度はそこを突いていく。逆に相手が絞ってきたら、またサイドを突くことができます。というようにリズムのあるプレーを意識させるときに、この言葉を使っています。駆け引きの指導にあたっては『相手が閉じているのだから、もっと広げろ!』などと答えは言いません。子どもたちが周囲や相手の状況から最適と思えるプレーを考えだせるようなヒントとなるメッセージを投げ掛けるだけなんです」

小学生のうちから、大人の考えた戦術やセオリーを伝えても、プレーをする選手自身がその状況を把握して行動していなければ身につくものではなく、一過性のものにしかならない。それは指導者が子どもをリモコンで操作しているようなもの。誰かがリモコンを操ってくれなければ再び動けはしないのだ。

(後編へ続く。次回は12月3日更新予定)


プロフィール
広山晴士(ひろやまはるお)

エスポルチ藤沢 代表
http://www.geocities.jp/roberuto1998/

1971年6月16日生まれ。愛知県刈谷市出身。静岡学園で活躍後、ジャトコ・サッカー部(東海リーグ2部)を経て、ヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ1969)に入団。1998年にエスポルチ藤沢(神奈川県藤沢市)を設立。クラブの指導方針に「テクニック重視の個性な選手育成」を掲げ、小中学生を対象としてサッカー・フットサルに取り組んでいる。

<Information>
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