高校サッカー心を揺さぶる物語 「いつも親父がいてくれた」
2014年01月10日
インタビュー親父がつくった三角
「いや、僕は行きません。親父と約束したので。今僕がチームを離れるのは、監督やみんなに迷惑がかかるので、それは絶対にしたくないんです」
「バカやろう! お前、何考えているんだ。いいか、親の死に目は人生に一度しかないんだぞ! 行かなきゃダメだ。それにお前、仲間を信頼していないのか!? お前は
明日負けると思っているから、そんなこと言っているんだろう! 選手権は明日の試合に勝てば、もう一回お前にチャンスが回ってくるじゃないか!」
監督は僕の腕を掴み、そのまま強引に車に乗せて、病院へと向かった。
僕と監督が病院に着いたのは、夜中の12時ごろだった。
病室に入ると、母親と叔父がいた。親父は意識がほぼない状態で、小さな唸り声を
上げていた。
こんな親父の姿は見たくなかった。
来るんじゃなかった、そう思った瞬間だった。
ガバッ!
親父が突然起き上がった。
「何でお前がいるんだ! 早く宿舎に戻れ!」
親父は僕に向かって叫んだ。
「せっかく息子が来たのに、なんてことを言うんだ!」
とっさに角谷監督が親父に言った。
「角谷か!?」
親父は監督の存在に気付くと、動かないはずの両腕を動かし、手で三角形を作った。
「いいか、これが見えるか。お前らはこの三角形の底辺にいるんだ。そこからお前らは勝ち上がっていかないといけないんだぞ。わかるか!?」
手を動かしていることも、しゃべっていることさえも、奇跡のような状態だった。
「わかったよ。十分にわかった……」
角谷監督は泣きそうな表情になっていた。そして、僕を見つめながら言った。
「おそらく今日が峠だろうから、お前はここに残るんだ」
僕は、力なくうなずくしかなかった。
「角谷! 慶人を連れて帰れ!!」
病室を後にする監督の背中に向かって、親父は叫んでいた。
続きは『高校サッカー心を揺さぶる11の物語』にて紹介しています。
日本全国で本当にあった高校サッカーの物語。全国出場を目指し、一生懸命にがんばる高校サッカー部員が全国にはたくさんいます。目標に向かって努力する。試合で負けて涙を流す。仲間と共に勝利を喜ぶ。すべてが二度とない青春の日々であり、一人ひとりに大切な物語があるのです。本書では選りすぐりの11の物語を紹介しています。熱く、泣ける、心を揺さぶる話を集めました。
【監修】安藤隆人
【定価】1,575 円
カテゴリ別新着記事
ニュース
- 「2024ナショナルトレセンU-14(後期)」参加メンバー発表!2024.11.14
- 「Jヴィレッジチャレンジ 2024 powered by シント=トロイデンVV」が開催!2024.11.14
- U-19日本代表、メキシコ遠征参加メンバー発表。湘南ベルマーレ・石井久継も選出で10番を背負う!2024.11.08
- 「U-16日本代表候補 国内トレーニングキャンプ」参加メンバー発表!2024.11.07
フットボール最新ニュース
- 近江高校の躍進を支えた7つの班。「こんなに細かく仕事がある」部員も驚くその内容2024.04.24
- 「三笘薫ガンバレ」状態。なぜサッカー日本代表は個を活かせないのか?2024.04.24
- 【遠藤航・分析コラム】リバプールは何が変わったか。遠藤を輝かせる得意の形2024.04.24
- リバプールがプレミア制覇に一歩リード?「タイトル争いは間違いなく波乱万丈」2024.04.24
- 前回王者マンC、絶対的司令塔の今季CL初出場・初ゴールで勝利。レアルも先勝2024.04.24
大会情報
- 【卒業記念サッカー大会 第17回MUFGカップ 大阪大会】大会結果2024.03.10
- 【卒業記念サッカー大会第17回MUFGカップ 大阪大会】フォトギャラリー2024.03.10
- 【卒業記念サッカー大会 第17回MUFGカップ 愛知大会】大会結果2024.03.09
- 【卒業記念サッカー大会第17回MUFGカップ 愛知大会】フォトギャラリー2024.03.09
お知らせ
人気記事ランキング
- 「2024ナショナルトレセンU-14(後期)」参加メンバー発表!
- かつて“怪物”と呼ばれた少年。耳を傾けたい先人の言葉
- 関東選抜メンバー発表!【関東トレセン交流戦U-15】
- 「2023ナショナルトレセンU-13(後期)」参加メンバー発表!【東日本】
- 「2023ナショナルトレセンU-13(後期)」参加メンバー発表!【西日本】
- ビルドアップ能力を自然に高めるスモールサイドゲーム。スペインで行われるトレーニングデザインとその意図とは
- 「フットサルって足下がうまくなりますよね」。それだけじゃないメリット “重要な決断” が繰り返される価値とは【8月特集】
- すぐに「痛い」と言い出す息子…。
- 【第37回全日本少年サッカー大会】三重県大会 決勝レポート「最後まであきらめない気持ちで試合終了間際に得点した、大山田サッカースポーツ少年団が優勝!」
- 【ダノンネーションズカップ2014 in JAPAN】決勝大会 大会フォトギャラリー