ドイツで活躍する点取り屋・岡崎慎司選手が海外で得たものとは?

2014年03月16日

サッカーエンタメ最前線

チームメイトからも信頼されている岡崎選手

――岡崎選手がドイツの文化やドイツ人の考えを理解できるようになったことが、今季の爆発につながっているわけですね。

中野氏 昨年、岡崎選手を取材した時、こんなことを語ってくれました。

『結構、監督にもパス出せと怒られています。でも、自分でシュートまで持っていくようにしているんですよ。それぐらいやらないとチャンスも来ないと思う。そんなチャレンジが僕には足りないと思うから、今はチャレンジしている感じです。まわりは見過ぎないように、もうゴールだけ見るようにしています。困った時は、もうシュートを打てばいいやって。ミスをしたら何か分かることもあるだろうし、今は強引にでもゴールに向かうぐらいじゃないとダメなんじゃないかと。1トップはいつもプレッシャーを背負うわけだから、ちょっとぐらい、いいじゃないかと思うんです。もし怒られても『オレは今、戦っているんだ』ってポジティブでやっています』

そう聞いた時、いい意味でサッカーに対する考え方がドイツというか、欧州ナイズされたなと感じたんです。

――郷に入っては郷に従え。まさにこの言葉を体現しています。それができたのも、岡崎選手が育成年代に考える力を身につけたからですね。

中野氏 ええ。結果が出せたのは、確かにいいチームに移籍できたこともあります。スペースに動けばパスが出るし、チームが岡崎選手を信頼している。だからといって、誰もがゴールがとれるわけではありません。シュトゥットガルト時代に苦しみながらもトライし続けたからこそ、今季の結果に結びついている。苦しむだけならどの選手にでもできますから。ドイツに渡ってきた頃、よくこんなことを言っていました。

『ヨーロッパの選手はサッカーがうまいですよね。ユースから昇格した選手で名前も知らないのに、なんでこんなにシュートがうまいんだろうと思います。ドイツに渡った頃はショックを受けました。でも、だからこそ、もっと練習をやらないといけないと感じます』

彼は悩んだ時もしっかりと考えてチャレンジを続けていました。私はいい選手がたくさんいる環境に身を置けたから成長したのだと思います。うまい選手がいる環境の中で主力としてプレーし、常に結果を出すためにはどうしたらいいか、ということを考え続けたことが岡崎選手の才能です。これは誰にでもできることではありません。気づけるか、迷えるかどうかは育成年代の選手において身につけさせるべき要素でもあります。サッカー選手として成長、そして成功を収めるには考える力を持っていなければなりませんから。

 

⇒最新号の『ジュニアサッカーを応援しよう!VOL.32』では、特集「確実にゴールを決める『シュート』技術を磨こう!」の中で、ドイツの育成で行われているトレーニング法を中野吉之伴氏に解説してもらっています。詳しくは『ジュニアサッカーを応援しよう!VOL.32』にて。

表紙32


プロフィール
中野 吉之伴
(なかの・きちのすけ)

1977年生まれ、秋田県出身。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指 導のエキスパートになるためにドイツに渡る。地域に密着したアマチュアチー ムで経験を積みながら、2009 年 7 月に日本人では数少ないドイツサッカー協会公認A級コーチライセンス(UEFAA レベル)を所得。SC フライブルクでの研修を経て、元ブンデスリーガクラブのフライブルガーFCで U16・U18 監督を兼任。今シーズンからU19-3部リーグのFC アウゲンでヘッドコーチを務める。新聞社の通信員としても活動。スポーツナビ、サッカー批評などでも執筆を行う
【ブログ】http://www.plus-blog.sportsnavi.com/robby/

 


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