池上コーチの一語一得「身長が低いためか飛び級できない」

2014年05月20日

コラム

池上正さんが子どもに対する悩みや、保護者・コーチの子どもを取り巻く大人に関する疑問や悩みに答えるこのコーナー。今回は身長が小さなお子さんを持つ親御さんからお悩みの質問です。

◎自宅(ピッチ外での子育ての悩み)

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(質問者:小学3年生の保護者)

息子は出生時未熟児だったため、今小学3年生で身長が120センチぐらいしかありません。周りの子たちはボールを奪う際、自分の体を相手とボールの間に入れ、重心を低くしボールを奪うことができます。対して息子の場合、相手とボールの間に体を入れはするのですが、ボールを奪う際、腰の位置や重心が高いのに加えて先ほど述べたようにフィジカルも乏しいことから吹き飛ばされてしまうことが多いです。もう少し体の使い方、重心移動の仕方が上手ければ小さくてももっとやれると思うのですが…。(感覚的には全身に力が入りすぎていて、動き自体がスムーズではなく、ぎこちなく硬く見えます)
他にもジャンプする際の膝のタメ具合、ドリブル時の重心の高さ(腰の位置や膝の曲がり具合など)が気になります。もちろんボディコンタクトが弱点な分、足元や視野などで補う部分は持っていると思うのですが、弱点によってチーム内で飛び級できず悔しい思いもしているようです。
成長と共に体の使い方や大きさは改善されると楽観視しているつもりですが、このまま成長を待つ形で良いのか、何かトレーニングによる改善方法があるのかお伺いしたいです。

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トレーニングは不要
相手とぶつからずにプレーできる技術の習得を

 小さい選手と言えば、私は必ずオシムさんの言葉を思い出します。当時監督を務めるジェフにいた羽生(直剛=2014年シーズンからFC東京)は身長160センチ台。オシムさんは、その羽生がコンタクトプレーなどで相手に負けたり転んだりすると、いつもこう言ってました。

「体が小さいのだから、相手にぶつからずにプレーしなさい」

 小さい選手は、そうでない選手よりも機敏に動けるはずです。だとしたら、徹底的にコンタクトプレーを避け、相手とぶつからずにプレーすればいいじゃないか――そうアドバイスしたのです。

 例えば、アルゼンチン代表のメッシ(バルセロナ)も、体の小さい選手です。が、ドリブルの速さ、瞬間のスピードで相手をすり抜けられます。

 このような小さい選手に教えるとしたら、ボディコンタクトのやり方を教えるよりも、かわす方法を教えるべきです。そして、息子さんに、技術を上げること、判断スピードをアップさせることを練習中に意識すること、そして賢くなることが大事だと話してみてください。

 また、「(体が小さいという)弱点によって、チーム内で飛び級できず悔しい思いもしている」とありますが、私は飛び級がどの選手にも絶対的にいいことだとは思いません。そもそも、120センチの小学3年生は、そんなに稀とは感じていません。未熟児で誕生したので保護者の方も成長スピードが気になるのでしょうね。

「成長と共に体の使い方や大きさは改善されると楽観視しているつもりですが、このまま成長を待つ形で良いのか」と書かれていますから、相談者の親御さんはサッカーをよくご存知の方だとお見受けします。御自身がおっしゃったように、ぜひ成長を待ち、温かく見守ってあげてください。

Sweden v Argentina - International Friendly
(写真●Getty Images)

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