「プレーヤーズ・ファースト」を実践するための大人の心得
2014年08月30日
コラム「プレーヤーズファースト」を実践するためには、いくつか大人が考えを持っていなければなりません。そこで今回は、京都サンガのホームタウンアカデミーダイレクターの池上正さんに聞いた、「プレーヤーズ・ファースト」を実践するための大人の心得を紹介します。
構成・文●島沢優子 写真●佐藤博之 取材協力●京都サンガF.C.
『ジュニアサッカーを応援しよう! vol.29夏号』P122-127より一部転載
子どもへの目線は“横から目線”
さて、「プレーヤーズ・ファースト」を実践する大人の心得とはどのようなものでしょうか。
それは第一に、過度に干渉しないこと。実は指導する相手の年齢が下がれば下がるほど、コーチは選手第一に考えられなくなります。なぜなら大人は「相手は子どもでサッカーがわからないから」と思い込み、一から教え込もうとするからです。
「右にパス!」「そこでドリブル!」などと指示命令を繰り返す指導をしていると、子どもは大きくなっても外から指示されないと動けなくなります。そうでなくても、今の子どもたちは、家や学校で大人の言った通りに動くよう要求されるため、何事も自分で考える習慣がつきにくくなっています。逆にサッカーをすることで受け身の思考回路を修正していく必要があります。
ふたつ目は、上から目線ではなく「横から目線」で接すること。本当に選手第一と言うならば、レギュラー組とサブとか、A、Bでチーム分けすることなどありえません。例えば、ひとつの大会に出て、先発の8人が何試合もずっと出ずっぱり。控えの子に「もっと練習してうまくなったら出す」とか「使いたいヤツがいない」などと暴言を吐くコーチはなかなかいなくなりません。勝利を優先するのではなく、預かった選手が平等にプレーできる環境を整えることが必要です。
上から目線の大人は、すでに暴言を暴言と感じられなくなっています。試合に負けそうになったり、子どもがミスをすると叱るコーチは、「プレーヤーズ・ファースト」を実践しているとは言えません。大人がすべきことは「ドンマイ、大丈夫だよ」と励ましてあげることです。そして、そのミスをどう考えたのか聞いてあげながら、子どもの性格や特徴を知る努力をしてほしいと思います。
子どもの置かれた立場になることも大切です。ある場所でひとりのコーチが子どもの指導をするのに首から鉄の笛をぶら下げてきました。プレーを止めたり、集合させるために使おうとしたのでしょう。すぐさま「その笛の高さはどのくらい?」と尋ねました。そのコーチはハッとした表情になり「子どもの顔くらいです。当たったら危ないです」と答えました。
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