4種(小学生年代)を支える町クラブの存在意義とは? サッカーが日本の文化となるために改めて考えなおしたいこと
2014年11月02日
コラム将来子どもに謝らなければいけない指導にならないように
――たとえば、今の課題というのはどういうものですか?
ボールを相手にとられないようにしよう、ということですね。ドリブルのキープや突破も、その後にボールを奪われなければいい。どんなときにボールを失うのか。それは自分の体から離れたとき。じゃあボールが離れないためにはどんなふうにボールに触ればいいのか。細かく、速く触れて、そこにフェイントを絡めて、というのが基本的なボールの持ち方です。
――今日も練習で繰り返されていた速いボールタッチですね。
タッチ数を細かく、速くしただけでも、一番うまくなかった子どもがボールを奪われなくなったんですよ。相手が右から来たときに左足で細かく触れば、相手はチェイスするだけでとり切れない。じゃあ次は必殺フェイントをかけちゃう?
その次はダブルでいっちゃう? ダブルでフェイントかけたら相手はもうどっちに来るかなんてわかんないよ、という感じで4年生くらいから3年間、くり返して伝えていきます。
――そこまでこだわってやり続ける、松村さんの指導のエネルギーはどこからくると思いますか?
下手は下手なりにあがく、ですかねえ。僕が読売ユースのときにそうだったから。実は指導を始めた頃はね、子どもたちに遠慮していたんですよ。子どもが本気でサッカーをやるわけないじゃん、と思っていた。でもジュニアの現場は違ったんですね。ガチで勝負してくれたり、その勝負に乗っかったりしたこともあった。
その反面、犠牲のほうが多かった。子どもに強制してしまった。そこを省みて、今の僕のチームにできることは何かなあと考えたときに、ドリブルにこだわりもあるし、こだわるならば、ひとつに時間をかけないといけないなと。
6年生で卒団してしまうのだから、武器になる前に出ていくことになれば、5年後、10年後に子どもの背中に謝らなければいけないでしょう?
子どもはサッカーで自分の意志を表現する権利がある、ずっとサッカーの理解者であってほしい、なんて言っている以上、僕らは最低限の武器を持たせて送り出してあげないといけない。それを無視して勝ち負けに走ってしまったら、うちが存在する意義がありません。
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