女子サッカーをただのブームで終わらせないために━━。もう一度考えたい女子サッカーの育成環境

2015年07月17日

コラム

ワールドカップで優勝しても変わらない女子サッカーの厳しい環境

――現状、監督は女子サッカーの具体的な問題をどう捉えていらっしゃいますか。

 多くのクラブは練習グラウンドなどのハード面に苦しんでいるのが現状です。さらに雇用の問題も抱えています。INAC神戸レオネッサを除けば、ほとんどの選手がさまざまな企業にお世話になり、所属チームでの活動をしているのが現実です。Jクラブが運営するレディースチームですら午前中や午後に働き、夕方から練習をしています。

 私たちのクラブは全員がノジマの正社員で、午前中はそれぞれの部署で働き、昼から練習できるすばらしい環境にあります。でも、女子全体を見渡せば、安定した雇用とサッカー活動の両立は大きな問題です。

――2011年のワールドカップ優勝は起爆剤になり、少しは変わりましたか?

 女子の競技者数は5万人にも満たないので、育成が重要になってきます。アメリカやドイツでは100万人を超える競技者がいて、大きなピラミッドを形成しています。今後、世界中で女子の競技者数は増加すると思うので、その中で日本がトップレベルを保つのは相当な努力が必要。だからこそ、中学生以降もサッカーを続けられる環境づくりが、今後大きな仕事になってきます。

――神奈川では、他にクラブができたとか。

 うちの設立が刺激になったのか、横須賀シーガルスという強豪クラブが横浜FCと提携して横浜FCシーガルスを立ち上げました。ほかにも、川澄奈穂美らを輩出した名門の大和シルフィードがトップチームを作りました。どちらも、なでしこリーグ3部のチャレンジリーグに所属しています。そういう意味では、神奈川は女子選手にとって大きな目標になるクラブが増えました。

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