JFAの新たな取り組みから見る、ジュニア年代の育成改革

2015年08月07日

コラム

今夏、新たな試みとなった『JFAフットボールフューチャープログラム トレセン研修会U-12』は、どんな成果があったのか。その改革に目を向けてみる。

(文●川端暁彦 写真●編集部)


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「指導者は勝つこと以外も考えて、選手は勝つことだけを考える」ための施策

 トレセン制度の新たな試みである『JFAフットボールフューチャープログラム トレセン研修会U-12』が、7月29日(水)から8月2日(日)にかけて静岡県御殿場市・裾野市を舞台に開催された。

 小学6年生以下を対象に開催されたこの研修会には、46道府県トレセンから1チームずつ、東京都から2チームが参加(各16名)。選手だけで実に768名が一堂に会する、「ちょっと今までにない規模の」(山口隆文育成担当技術委員長)巨大トレセン大会となった。

 今年から全日本少年サッカー大会が8月から12月へと移行したため、空白期間となった夏休みを利用しての開催である。言ってしまえば都道府県対抗戦なのだが、「指導者が勝つことしか考えないようではいけない」(池内豊ユース育成サブダイレクター)という配慮も随所に見られた。

 そもそも、かつてU-12年代でも地域対抗戦は開催されていたのだが(ナショナルトレセンU-12の前身)、そこで勝利至上主義が横行しているとして研修会方式に移行した過去がある。

 同じ轍は踏むまいということで、たとえば1位チームの表彰も行われることなく、「勝てば良い指導者」といった風潮になることを戒める空気感があった。

 ただ、これが育成の悩ましいところで、「勝たなくていい」という空気を子どもに向かって指導者が出しているようでは本末転倒。

 山口委員長は「目の前の勝負にこだわる。これは絶対ですよ。その姿勢は子どもに持たせないといけない」と、バランス取りが肝であることを強調する。「だからPKも入れたんです」と言うように、今大会の1次ラウンドでは必ずPK戦まで実施する変速方式のリーグ戦だった。得点数が勝ち点にボーナス加算される規定もあってアグレッシブなゲーム展開が自然と煽られる形になっている。

「僕らも『日本は勝負弱い』ということを克服したいと思っているし、そのためにこの年代からできることがあるはずという思いでやっている」(山口委員長)。

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