日本代表の主将・長谷部誠に見る真のキャプテンシー。リーダーに必要な”資質”とは何か?
2015年10月07日
メンタル/教育チームのために自分が何ができるかを考える
ブラジルでの発言通り、長谷部は2014年9月のアギーレジャパン発足後、キャプテンを本田ら若い世代に譲ろうと考えていた。10月のチュニジア(新潟)・ブラジル(シンガポール)2連戦には招集を見送られ、本人も代表から離れる可能性を感じたことだろう。
けれども、今季からプレーするドイツ3クラブ目のフランクフルトでのパフォーマンスが好調で、アギーレ監督の考えるアンカー像に長谷部が最適だと判断されたことから、11月のホンジュラス(豊田)・オーストラリア(大阪)2連戦で復帰。指揮官に促されてキャプテンを継続することになった。
「個人的にいろいろ思うところはありますけど、指名されることは光栄なことですし、与えられた役割というものはしっかり全うしたい」と本人は新たな責任を背負う覚悟を固めた。
こうした経緯があったから、自身2度目のアジアカップでも長谷部はチーム第一の行動を取った。まずアギーレ監督のスペイン時代の八百長疑惑で周囲がざわついているのを敏感に察知し、「監督から直接話を聞いてみんな熱いものを感じたし、全員が間違いなく同じ方を向けていると思います」と強調するなど、騒動の沈静化への努力を惜しまなかった。
初戦・パレスチナ戦からチームが深刻な決定力不足に直面すると「この内容には全然満足していない」と仲間たちに奮起を促した。
また、アギーレ監督が対戦相手の分析をあまりしないと分かると、自分から積極的に進んで映像をチェックしてイメージを膨らませ、レフリーの判定が欧州基準とは大きな差があることを察知すると、意識的に頭の切り替えを行うなど、彼は自分にできることを見つけて貪欲に取り組んだ。
こうした試みがアジア連覇という成果につながらなかったのは残念だが、長谷部がキャプテンとしての役割を十分に果たしたことは、誰もが認めている。
1人の選手がここまで完璧なリーダーシップを発揮するのは難しいが、チーム最優先で行動する、自分にできる仕事を進んで見つける、周りの状況に流されずに厳しさを持つなど、長谷部の行動から学んで実践できることは少なくない。日本代表歴代キャプテンの中で国際試合最多出場を記録した名リーダーの振る舞いを、ぜひとも多くの少年少女たちに参考にしてほしいものだ。
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