脳の特徴を知ることでチームプレーはアップする!!

2015年10月10日

メンタル/教育

集団的な帰属意識を高めてチームプレーの蓄積を作る

――サッカーはチームスポーツです。集団行動の質を高めるにはどうすべきですか?

 チームプレーを向上させるためには、集団的帰属意識を高める必要があります。つまり、チームの団結につながるプレーをほめることです。指導者が選手にどれだけ具体的な事例を提示できるかは大切です。言葉で説明することが難しいのなら映像で示してもいい。いいチームプレーの蓄積を増やすアプローチは日本人には合っています。その蓄積量を個々がどれだけ持っているかに、私は尽きると思っています。

――例えば、個人にしてもチームにしても映像を使って、いいプレーのイメージを持たせることはプラスに働くわけですね。 

 間違いありません。ただ一方で失敗例を見せることも大事です。脳科学の観点からすれば、両方をうまく伝えることが相乗効果を発揮するからです。その割合は成功3~4に対し、失敗は1程度。ただし、失敗事例を見せるときは、同時に解決策を提示することを忘れてはいけません。日本人は損害回避傾向が高いからミスした事実を捉えがちですからね。失敗したシーンで思考が止まってしまうから、同時に解決策を示すことで思考を動かしてあげてください。
 
 昨年、バルセロナのMFシャビ選手があるテレビ番組で脳科学の実験にプレーモデルの選手として出演していました。その番組では、彼を「脳に膨大なプレーデータが蓄積され、それを適切なタイミングで瞬時に引き出せる選手」と結論づけていました。
 
 日本人は新奇探索傾向が弱いから新たなチャレンジに対して臆病な性格です。だから、シャビ選手のように、いいプレーのパターンを蓄積するというやり方は適しているのではないかと感じています。
 
 でも、ここで知っておくべきことは、脳にため込んだプレーの蓄積から適切なものを引き出すときに重要になるのが「感情」というタグです。例えば、人間は目の前の乗り越えるべきハードルが高ければ高いほど達成したときはうれしいし、その記憶は強く残ります。それと同じように、いいプレーも悪いプレーも印象に度合いがあり、プレーの印象度が低ければそれを引き出すことにも時間がかかるというわけです。

――印象度で言えば、同学年とばかり練習するよりも、上の学年や下の学年を混ぜて練習した方が練習効果がありますよね。

 その通りです。同じ成功体験でも同学年と上の学年とではドーパミンの活動に違いがあるから、上の学年に対する成功の方が明らかにインパクトは高いです。逆に、下の学年と練習したときの失敗も同学年より心に残る。子どものころは脳と神経系の発育が活発だから練習効果は上がるはずです。 

 別の視点で見ると、実力のない子が下の学年を相手に多くの成功体験を得て実力の底上げをするということも可能です。もちろん、そうした場合は下の学年の子どもに対するケアを考えなければなりません。

 私もサッカーの育成現場のことを詳しくは知りませんが、小学校の学習モデルと一緒で学年を混ぜて学ばせるわけでないないのですね。それだとミラーニューロンの効果が期待できません。別名「共感細胞」と呼ばれます。スポーツの世界では、距離的にも心理的にも近い人の行動を模倣することで新たな技能を習得するのに役立つとされていわれています。よく飛び級で上の学年に練習参加をさせた子が、グンと実力が伸びると聞きませんか。あれは、ミラーニューロンが働いているからなんです。あくまでも個人的な意見ですが、多角的な視点で見ると、2~3回に一回は近い学年を混ぜて練習した効果があるかもしれません。一度試してみるのも一つの手段です。

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