観客を魅了する美しいパスサッカーが生まれた理由とは? 哲学で読み解くサッカー思想史

2015年12月22日

サッカーエンタメ最前線

スコットランドで生まれた左翼のサッカー

 サッカーにおける右か左かは、もともとアプローチの違いにすぎなかった。

 左派サッカーの源流はスコットランドにある。イングランドのパワフルなプレーに対抗するためにショートパスを多用したスタイルが生まれたのは19世紀といわれている。その後、ヨーロッパ大陸や南米に渡った英国人コーチが伝え、普及したのはスコットランド・スタイルだった。

 技術とパスワークのサッカーこそが本物という評価は、40年代のヴンダーチーム(オーストリア)、50年代のマジック・マジャール(ハンガリー)、60年代ブラジルの成功によって定着していく。メノッティの言う「崇拝されるものこそが左翼のサッカー」という下地が作られていった。

 だが、もともとの動機が「勝ちたい」というところにあったのは否定できない。

 スコットランド・スタイルの原点といわれる最古のクラブ、クイーンズ・パークFCがショートパスに活路を拓いたのは、FAカップで対戦したイングランドのワンダラーズにフィジカル面で不利だったからだといわれている。

時を経て、左翼のサッカーは「豊満かつ芸術的」に昇華して、「人々を幸せにできる」ようになるのだが、そもそもの動機はそこではない。クイーンズ・パークFCが勝利至上主義ではなかったにしても、勝つための選択ではあった。

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