観客を魅了する美しいパスサッカーが生まれた理由とは? 哲学で読み解くサッカー思想史
2015年12月22日
サッカーエンタメ最前線「右翼のサッカーと左翼のサッカーがある」。これは、1978年ワールドカップでアルゼンチンに初優勝をもたらしたセサル・ルイス・メノッティ監督の言葉です。メノッティ監督が言う「右翼のサッカー」と「左翼のサッカー」とはどういう意味なのでしょう。今回は、西部謙司氏の著書『サッカー右翼 サッカー左翼 監督の哲学で読み解く右派と左派のサッカー思想史』より一部抜粋して紹介します。
(文●西部謙司 写真●Getty Images)
『サッカー右翼 サッカー左翼 監督の哲学で読み解く右派と左派のサッカー思想史』より一部転載
サッカーにも右翼と左翼がある!?
「右翼のサッカーと左翼のサッカーがある」
1978年ワールドカップでアルゼンチンに初優勝をもたらしたセサル・ルイス・メノッティ監督の言葉である。
「右翼のサッカーは『人生は闘いだ』と思い込ませる。そして犠牲を求める。我々は鉄にならなければいけない。勝つためにあらゆる方法が用いられる」
メノッティは政治的にも「左」を明言している人で、「右翼のサッカー」に対しては完全否定の立場だ。
「ただ勝利だけを目指して、柔軟性のない無機質な規律に選手を縛り付ける」
メノッティの考えでは、右翼のサッカーは勝利至上主義であり、勝つために手段を選ばない。
勝つための手段を決めるのは通常、監督だろうから、監督の考えに選手たちは従わなければならず、自己犠牲が必須となる。仮に監督のアイデアに疑問を感じたとしても、チーム一丸となって任務を遂行しなければならない。心を鉄にして勝利へ邁進する。そうした傾向を持つサッカーへの嫌悪をメノッティは隠そうとしなかった。

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