街クラブから世界を目指す――。ブリオベッカ浦安が描く未来
2016年03月18日
コラムジュニアチームから積み上がってトップチームが生まれる異質な経緯
浦安にはトップチームの他にも、小・中・高校生、さらには父母のチームなども含めて400人が活動する、まさに地域密着を絵に描いたようなクラブだ。ただし他の一般的なクラブと異なるのは、ジュニアチームから積み上がってトップチームが生まれているところにある。クラブ設立の経緯について、会長の谷口はこう回想する。
「もともと地元にあった東洋水産という企業が、子会社が所有するグラウンドを使って『マルちゃんサッカースクール』というのをやっていたんです。ところが、東洋水産が移転してしまって、子供たちがサッカーをする場がなくなってしまったんですね。そこで、マルちゃんサッカースクールで教えていた斎藤さんや増田さんにコーチをお願いして、浦安JSCが立ち上がったのが89年でしたね」
興味深いのが、立ち上げ当初の浦安JSCが、子供たちの父母による「任意団体」だったことだ。齋藤たちが保護者から月謝を取る形態にしてしまうと、営利目的と見なされてしまい、自治体がグラウンドを貸してくれなくなる。よって「保護者による任意団体」として活動し、指導者にギャラを支払うという形が採用された。役員は6年生の保護者が務めることになり、ちょうど6年生の息子をスクールに通わせていた谷口は、これを契機にクラブ運営に深く関わるようになる。
「2000年にトップチームが立ち上がって、一貫指導のピラミッドが完成しました。そうなると、自分の子供のことだけでなく、トップチームのことも気になってきて、子供が中学に上がってからも役員を続けさせてもらったんです。で、今から10年前(06年)ですかね、トップチームが千葉県1部で活動していた頃に、他の役員の皆さんと一杯やりながら『せっかくやるなら、関東リーグのさらに上のJFLを目指すべきじゃないか』って話になったんです。当時のJFLって、J2のすぐ下でしたから、結構インパクトのある話でした。じゃあJFLに上がったら、記者会見で真ん中に座るのはオレだ、いやオレだ、なんてね(笑)」
それから9年後の15年12 月9日、浦安はJFL昇格の会見を行った。真ん中に座っていたのは、株式会社化したクラブの代表となっていた谷口。その胸中は、まさに万感の思いで満たされていたことだろう。余談ながら谷口は14年11月末、それまで務めていた外資系企業を55歳で退職し、残りの人生をクラブ運営に専念する決断を下していた。(続きは『フットボール批評10』でお楽しみください)。
⇒Jリーグがプロ化して23年、クラブ数も拡大し、ともすると原点を忘れそうになる今だからこそ、改めてサッカークラブの存在価値とは何かを徹底的に問う。100年後も愛されるクラブであるために必要なことは何なのか?
フットボール批評issue10
【発行】株式会社カンゼン
B5判/128ページ
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