EUROで躍進したアイスランド。人口33万人の「小さな育成大国」が起こした“奇跡”という名の必然

2016年07月04日

コラム

国中に広がるスカウト網

 全ての指導者がUEFAライセンスを保有しているということは、地域での格差も少ないということだ。彼らは国中にスカウト網を張り巡らせることで、優秀な才能を見逃さない。田舎の小さなクラブから、代表選手が育つこともアイスランドでは珍しいことではない。ヨーロッパにありがちなエピソードである「ロンドンのアカデミーに入るために、地方から上京してくる」というようなことは、アイスランドでは起こり得ないのだ。選手達は地元で家族と過ごし、自然の中で健やかに育ちつつ、トップクラスの指導者に磨かれていく。

 IA Akranesは6000人しか住民がいない、小さな街のクラブだ。そんなクラブは、これまでに30人の選手を海外の有名クラブに輸出している。アイスランドでは、選手を他チームから引き抜くことはない。彼らは「チームに集まってきた才能を育てる」姿勢を常に忘れていないのだ。才能を買ってくることは簡単だが、育てることは難しい。そんな残酷な事実に献身的に向き合い続けるのが、アイスランドなのだ。

 イングランド戦でゴールを決めたラグナル・シグルドソンは、写真の地で育ったという。恐らく、彼の故郷は都心からは離れているはずだ。このような場所から無理をせずに通える位置にも、優秀な指導者がいること。それこそが、アイスランドが成し遂げた奇跡なのだ。

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