「日本ほどすばらしい才能に溢れた子どもが多くいる国を見たことがないが…」ドイツから見た日本の育成年代が抱える問題点とは

2017年01月24日

コラム

勝負には勝者と敗者が出る。だからこそ…

――ここは大事なポイントだと思います。この間、ドイツ5部リーグの監督の話を聞いたのですが、そのチームには二人の日本人選手がいるそうです。『彼らのボールを扱う技術はすばらしい。だが、試合になると、どう動いていいのかを全く理解していない』と口にしていました。

「そうだろう。日本サッカーのトレーニングの大きな問題は、練習時の選手数が多すぎることだ。学校のチームだと、60〜80人が同じピッチで練習している。それだけの選手が一緒に練習しなければならないのなら、ゴールを使った練習はどうやっても無理だ。それなら何ができる?

 パスと走ることしかない。今、ヨーロッパで活躍している日本人がMFなのもこうした背景がある。走ること、パスをすること、勤勉に動くことはできる。だが、それだけではゴールを守る助けにはならないし、ゴールを決める助けにもならない」

――最後の決定力、詰めのところを育て上げるのに必要なことは何だと考えられていますか?

「それはシンプルな質問だ。まず、各年代でグループを小さくすること。そうすることでゴールに向かったプレー、ゴールを守るプレーの真剣勝負の機会を増やせる。練習で、もっとゴールを使う。あるいは、練習の最後に紅白戦をやる。そんな環境の中で『ゴールが決定的に大事なんだ』ということを学ぶ。

 パスが重要だとか、ドリブルが必要だとか、そんな話ではないんだ。ゴールが大事なんだよ。ゴールにつながるプレーにならなければならない。

 練習中にミニゲームでトーナメントをやるとする。総当たりでもいい。『誰が勝ったのかをはっきりすること』が大切だ。勝負には、勝者と敗者が出る。その差を分けたのは、何なのかを知らなければならないんだ」

――大人数の練習では、バリエーションにも限界が出てきます。

「トレーニングに関してもグループを小さくし、具体的には6〜8人、多くても10人のグループでシュート練習ができるようにしなければならない。5対5の練習をすれば、同時に守備のスキルをも鍛えることができる。パス練習だけ、ドリブル練習だけやっても無駄なんだ。それが一番シンプルな答えだよ」


【1/22トークイベント】中野吉之伴氏×末本亮太氏『ドイツサッカーの育成文化をどう日本に落とし込むか』


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