師匠オシム超えを目指して――。気鋭の指揮官が語る監督という仕事

2017年02月06日

コラム

かつてイビツァ・オシムの通訳を務めた間瀬秀一氏。J3秋田を2年間指揮、クラブ史上最高の4位という成績を残し、秋田県のサッカー熱を再燃させた。現役時代は海外を渡り歩き、引退後は通訳から指導者へ転身するなど、異色の経歴を持つ間瀬が抱く、監督業への想いとは。今日発売の『フットボール批評issue15』から一部抜粋して紹介する。

(文●加部究 写真●Getty Images)

『フットボール批評issue15』より一部転載


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年々研ぎ澄まされる間瀬秀一の『洞察力』

――間瀬さんには、秋田の監督に就任して、初日の練習を終えた後にもインタビューをさせて頂きました。きっと(監督を)やってみて初めてわかる難しさがあるはずだ、と言っていましたが、実際にはどうでしたか。

「正直なところ、難しいと思ったことは、あまりありませんでした。ただ時間がかかるとは思いました。監督に就任して一番感じたのは、ボクと選手の間の生きるテンションの温度差です。

 ボクは海外で4度死にかけた場面がありましたからね。でも2年目のシーズンを終えて、この温度差はなくなっていました。だからクラブ史上最高位という成果を挙げられたんだと思います」

――同じインタビューで、今シーズン、必ずピッチに立っている選手が、目つきを見て判ったと話していました。プレーだけでなく、そういうことも評価基準になるのですか。

「43歳になり、ひとりの人間としては、いろいろな機能に衰えが出ています。でも第六感……、人を見極める力は、どんどん研ぎすまされてきているんですよ。実際に監督2年目には、プレーを見ずに目を見ただけで獲得を決めた選手もいました。

 対戦相手の選手でした。凄く緊迫した試合の終盤にボールがタッチを割り、ボクが彼に拾って渡すと“ありがとうございます”と、とても涼しい顔をしていました」

――洞察力は大切な要素なのですね。

「監督や社長など上に立つ者には、そういうところが必要だと思います。リーグ戦でも、70分前ミーティングで対戦相手の監督と顔を合わせるのですが、表情からどんな腕時計をしているかまで、観察しまくります。逆にボクの方は見られたくないので、腕時計はつけません」

――そのまま試合中もつけないのですか。

「腕時計を見ると、その一瞬だけピッチ上から視線が外れるじゃないですか。それが嫌なんですよ。それに残り何分とか、あまり気にしたくないので」

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