「僕はまずシュートを打たせないようにする」。FC東京の守護神が追及する緻密な駆け引きとGKとしての思考法
2017年05月09日
インタビュー自分が『シュートを止められるGK』だとは思っていない
――林選手は、ドイツ代表のマヌエル・ノイアーが「スウィーパー・キーパー」として脚光を浴びた際に、ノイアーよりも守備範囲が広いと注目されたこともあります。そういうスタイルが形作られたのも、高校時代でしょうか?
「いや、基本的なプレースタイルが作られたのは、やはり小学校時代かなという気がします。僕は声を出すというのも自分の強みだと思っているんですが、その部分に関しては、小学校の時から意識し始めましたから。当時、僕が所属していたチームでは、GKとして選抜チームに選ばれるためには、とにかく声を出してアピールすることが大事だと言われていたんです。
たしかに振り返ってみると、その時は大したことを言っていない(笑)。
でもレベルが高くなっていけばいくほど、どう判断すればいいのかを細かく考えるようになるし、的確な指示も出していけるようになる。コミュニケーションの部分は、一番大事にしています。意思の疎通を図っていかなければ、ディフェンスの擦り合わせなんて、できるわけがないと思っていますから」
――林選手は正確なフィードも大きな武器だと言われているわけですが、そもそもご自身は、GKとしての特徴がどこにあるとお考えですか?
「僕は自分が『シュートを止められるGK』だとは思っていないんです。もちろん、この部分はもっと向上させていかなければならないし、決定的な場面がやってきた時に、確実に結果を残せるようになりたい。だからFC東京のジョアン(ミレッ)コーチと毎日、練習を重ねているわけですが、自分を冷静に評価した場合にはシュートを止めるのが、それほど得意なGKだとは思っていないんです。
だからこそ僕の場合には、まずはシュートを打たせないようにする――――危ない場面を作られるのを、どれだけ事前に止めるかがポイントになる。DFと連携しながら、クロスやハイボールに的確に対処したり、相手の先の先を読んで、スルーパスをカットしたりする。そういうプレーを一番意識しています」
――私の目から見れば決して反応は遅くないし、それだけのサイズやリーチもある。むしろ「シュートを止められるGK」だと思っていました。
「相手がゴール前に迫ってきて、どのコースにでもシュートを打てる状況を作ったとします。反応が早い人なら3回中3回、至近距離からのボールを止められるかもしれない。でも僕は、むしろ3回中3回入れられてしまう危険性の方が大きいタイプじゃないかと。であれば、その状況を作らせないのが理想になるはずだという考え方をしているんです」
(続きは、フットボール批評issue16でご覧ください)
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