「パスは相手の逆をとって相手に読まれないように出すことが重要」。日本と南米のパスに対する”意識”の差とは【南米流テクニックバイブル】

2017年07月12日

コラム


亘流ファナティコになるための考え方

南米はパスについて「パスは成功すればパス、通らなければミス」と考える


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【2017 COPA BELLMARE U-11 PILOT INTERNATIONAL TOURNAMENTで優勝を飾ったパルメイラス】
 
 南米には「パスは成功すればパス。通らなければミス」という考え方がある。だから相手を引きつけたり、パスを出したら終わりではなく、その後味方がボールを奪われないために相手の逆をとろうとする発想がある。日本ではダメだと言われるトゥキックでもヒールキックでも、南米ではパスを成功させるために駆使するのだ。僕がアルゼンチンでフォワードをやっていたとき、相手のセンターバックからサイドバックへのパスが読めなかった。そのセンターバックは、パスをするときにフェイントをかけてこちらの読みの逆をとろうとするから、パスコースを絞れないのだ。そうこうしているうちに今度は正直にインサイドキックでサイドバックにパスを出したりするので、もうお手上げだった。


亘流ファナティコになるための考え方

南米の選手は試合中のさまざまなプレーで相手をだますことができる


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【ボカ・ジュニアーズ(アルゼンチン)などでプレーした亘崇詞さんが現役時代の時に撮った写真。雑草が広がるグラウンドで練習するアルゼンチン人】

 パスは相手の逆をとって相手に読まれないように出すことが重要。よく日本では「フェイントが好き。相手をだますことができるから」といった声を聞くこともあるが、南米の選手はフェイントだけでなく、コントロールでも、パスでも、試合の90分間、あらゆるプレーで相手をだますことができる。日本と南米ではサッカーの考え方がまったく違うのだ。だからこそ南米では、パスを通すことに重きを置いているだけに、パスが成功しないときに指導者から「なんで止められないんだ」「どうしてタイミングを外せないんだ」と怒られるシーンもある。日本のように「今のパスの狙いは良かったぞ!」というほめられ方はしないのだ。トゥキックだろうがヒールキックだろうが、パスは通してこそパス、という共通認識があるのだ。


亘流ファナティコになるための考え方

自分が犠牲になってでも味方を活かす。配慮したパスを出せる選手が評価される


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 相手に寄せられたときにボールを奪われたくないからと、苦しまぎれに味方にパスを出してしまうようなシーンは多々ある。そういうパスを出しているうちは世界で通用する選手にはなれないし、選手としての評価も高まらない。世界で活躍する選手は、たとえ自分が犠牲になってでもチームを勝たせることができる。つまり、自分に相手を引きつけるだけ引きつけて、次にパスを受け取る味方がフリーの状態で楽にプレーする配慮ができるということ。南米ではクチャラといったすくい上げるようなパスを出すこともある。できるようになるまではリスクもあるし、派手で難しいプレーをしているようにも見えるのだが、クチャラは相手を引きつけるのに最適なパス。南米の感覚ではあのパスも立派なパスなのだ。

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