日本サッカーの良さを持つ韓国代表選手に――。横浜F・マリノスユース・柳知廈/ユースプレーヤー成長記

2017年07月21日

コラム

父親の仕事の都合で小学5年生の冬に来日した柳知廈(ユ・ジハ)。第35回全日本少年サッカー大会では全国大会に出場し、現在は横浜F・マリノスユースで活躍している。小学生当時から、取材する機会も多かった彼の成長を追った。

取材・文●山本浩之


横浜F・マリノスユース・柳知廈(ユ・ジハ)

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【写真●山本浩之】

 2011年6月26日、『第35回全日本少年サッカー大会 神奈川県大会』は、あざみ野F.C.と横浜F・マリノスプライマリー追浜による準決勝が行われていた。前回大会の神奈川県代表であったバディーSCが日本一になったことで、この大会の神奈川県の全国大会出場枠は2つ。準決勝は、勝者が神奈川県代表となる大一番となっていた。

試合は前後半の40分がスコアレスのままで経過すると、あざみ野F.C.はコーナーキックを迎えていた。ベンチでは吉見正監督が時計に目をやり、アディショナルタイムに入っていることを確認した。

「コーナーキックにはなったけれど、直前のフリーキックを決められなかった。もう少しでゴールというところで、相手のディフェンダーにクリアされてしまって『ああ、チャンスを逃しちゃったな』と思っていた。時計をみたら、もう20分を過ぎていたし延長のメンバーをどうしようかなって考えていましたね」(あざみ野F.C. 吉見正監督)

 舞台は、2016年まで横浜市のみなとみらい地区にあったマリノスタウン。会場にいた誰もが、ラストワンプレーになるであろう、あざみ野F.C.のコーナーキックに注目したことだろう。

 コーナーアークの中にセットされたボールは、力強いキックを受けるとペナルティーエリアを目指して弧を描いた。待ち構えていたのは、あざみ野F.C.の背番号29番。ひと際背の高い少年の額がボールをとらえた。それは、あざみ野F.C.にとって11年ぶり3回目となる全国大会出場を決定づけるゴールとなった。

 少年の名は柳知廈(ユ・ジハ)という。今回のユースプレーヤー成長記の主人公である。

 ジハは、小学6年生のときに、すでに身長が173㎝あり、出場した『第35回全日本少年サッカー大会 決勝大会』の全国48代表チームの登録選手764人の中では、もっとも長身だった。

 文部科学省による2011年の学校保健調査では、小学6年生(11歳)男子の平均身長が145㎝なのだから、ジハはゴール前の混戦に競り勝つことができ、打点の高いヘディングシュートを決めることができたのだろう。

 けれども、決して、ジハは体格に頼っていたわけではない。ヘディングにしても練習で磨いていたからこそ、全国大会の出場がかかった試合で発揮することができたのだ。

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【第35回全日本少年サッカー大会 神奈川県大会 準決勝 あざみ野F.C.29番ユ・ジハのゴールシーン(写真●山本浩之)】

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