なぜ“石川直宏”は人を惹きつけるのか。今季での引退を決意した“ミスター東京”の少年時代
2017年08月04日
コラム弟たちの面倒をよく見ていた直宏少年
東京湾と相模湾に面する三浦半島にある横須賀市は、神奈川県5番目の人口規模を誇る大都市。米軍基地や自衛隊駐屯地も置かれ、日本の国防の要衝とも位置づけられている。外洋に開かれたこの町で、81年5月に石川直宏は生を受けた。
父・二三夫さん、母・さなえさんにとっては待ちに待った長男。二三夫さんは早く亡くなった父・直次郎さんの一字を取り、字画を考えて「直宏」と名づけた。
「ウチの父が『ナオさん』って慕われていたので、長男が多くの人から『ナオ』と親しみこめて呼ばれるのは、すごく嬉しいことですね」と父は笑みをのぞかせる。
1年後には次男・貢 みつぐ(ライオンズフットサルクラブ)、3年後には三男・扶たすく(松本山雅)が生まれ、男の子3人がいる石川家は非常ににぎやかだった。父・二三夫さんはアウトドア派だったため、車にベビーカーとサーフボードを乗せて海へ出かけ、ウインドサーフィンや海釣りを頻繁にしていた。最初は恐る恐るだった直宏少年もだんだん海に入っていくようになり、泳ぎもうまくなった。
「葉山の近くに私の姉が住んでいて、その付近の海へ出かけると、自分からどんどん泳ぎに行っていました。ブイのところまで行っては戻ってくるのが習慣でしたね」(二三夫さん)
父の影響でサーフィンも覚え、粟田小学校に入ってからは自転車で山まで出かけてザリガニを取りにいくなど、直宏少年は片時もじっとしていることはなかった。一方で、書道も習いはじめ、6年生時には「男」という文字を書いて習字協会の名人賞をもらったこともある。幼い頃の彼はかなりマルチな能力を発揮していた。
弟たちの面倒をよく見る子だった。当時、父・二三夫さんが観光バスの運転手をしており、泊まり勤務も頻繁にあったうえ、母・さなえさんも働きに出ていた。このため、家の中のことは長男である直宏少年に託されることが多かったのだ。
「直宏がお父さんの代わりにならないとダメよ」
母の口癖を、幼い長男は真っ直ぐに受け止めた。
「自分がきちんとしないといけない」と強く責任を感じた直宏少年は、整理整頓を心掛け、出かける際の準備も迅速にこなした。それができない弟たちを見ると、どうしても注意したくなる。マンガ本を読んだあとにきちんと順番に並べて戻さなかったりすれば、容赦なく怒った。三男・扶さんがポテトチップスを挟んだまま本を戻したのを見て、直宏少年が怒鳴り、弟が反発することもあったようだ。
「あの几帳面さは生まれもった性格でしょうね」と両親も笑っていた。
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