鄭大世が語るストライカーに必要なメンタル。理想の選手像は「内田篤人」

2017年09月13日

メンタル/教育

during the Second Bundesliga match between VfL Bochum and Erzgebirge Aue at Rewirpower Stadium  on January 24, 2011 in Bochum, Germany.
海外の選手に備わる“根拠のない自信”

――とはいえ、鄭大世選手もゴールが奪えずに落ち込むことはあるのでは?

 僕はもう結婚して家に幸せがある。サッカーがうまくいかなくても、家に帰ったら幸せがあるから嫌なことは忘れられる。子どもの顔を見たら切り替えができるんです。独身のときはサッカーでしか幸せがなかった。サッカーがうまくいかなければ不幸せだった。それは地獄ですよ。

――子どもがサッカーで落ち込んで、家に帰ってきてお父さんやお母さんにサッカーのことでまた怒られたら逆効果ですね。

 それは絶対にダメですね。僕は怒られて育った世代ですが、今の世代はそういう世代じゃないでしょう?海外の選手には根拠のない自信があるんです。幼少期から褒められて育っているから、自分はできるんだ!という根拠のない自信に溢れている。

 もちろん日本のように叱られながら育つと根性がつくという良さはあるけど、どちらがワールドスタンダードかといえば海外のほうですよ。ドイツの選手をみても、下のカテゴリーの選手でも下手なのになぜか自信だけはある。やはり、自信をもつことはプレーするうえでめちゃくちゃ大事です。

――指導者のアプローチも大事になりますね。

 それは本当に大事だと思います。なんで お前はこんなことができないんだ!と頭ごなしに否定せずに、具体的なアドバイスがほしい。その点、エスパルスの小林伸二監督はすごく上手です。元フォワードの監督なので、ポジショニングやボールの受け方など細かいところの指導がすごくうまい。僕は30歳を超えても成長させてもらえた。ダメな部分を否定せずに肯定しながらうまく伸ばす。サッカーの楽しさを伝えられるプロの指導者ですね。

――最後に伺いたいのですが、一昨年の清水エスパルスはJ1昇格のプレッシャーを打ち破り、最後は怒涛の9連勝、鄭大世選手はこの9連勝中に9ゴールを挙げる活躍をして昇格に貢献しました。メンタルの持ち方として大事だったと思うことを教えてもらえますか。

 平常心ですよ。環境に流されないこと。最後は9連勝しましたがどの試合もプレッシャーしかなかった。でも、大事な試合だからといつも以上のパフォーマンスを見せる必要はないんです。普段どおりにやればいい。でも、若手選手は焦ってしまっていた。いつも以上の力を出そうと緊張していた。最後に仕事をしたのはベテラン勢でした。ちょっとのことではイライラしないし、怒鳴らないし、感情も表に出さなかった。変な力みがないから普段通りのプレーができた。やっぱり平常心が大事だということです。


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