「敵と同じもの」はみない。風間八宏の“受ける”極意
2017年10月27日
コラムボールを受ける。サッカーにおいて「ボールを受ける」というプレーは誰にでも当然のように訪れます。だからこそ「ボールを受ける」というプレーはとても重要になってきます。この「ボールを受ける」というプレーが淡泊になってしまうと、その後の「ボールを持ったとき」の技術を発揮することが難しくなってしまうでしょう。このサッカーの“生命線”ともいえる「受ける」について風間八宏監督はどう捉えているのでしょうか。10月23日に発売となった『技術解体新書 サッカーの技術を言葉で再定義する』から一部抜粋して紹介します。
文●西部謙司 写真●田中伸弥
『技術解体新書 サッカーの技術を言葉で再定義する』より一部転載
パスの出し手と受け手が『いつ』を共有すればマークを外せる
「パスを『受ける』ときは、『いつ』『どこで』『どう』がポイントになります」
風間さんのいう「いつ」「どこで」「どう」とは、それぞれ何を意味しているのだろう。
「『いつ』は、ボールを持っているパサーがパスを出せる瞬間です。だいたいこの『いつ』がはっきりしていないので、パスを受けたときに敵に捕まってしまう。パスの出し手と受け手の双方が『いつ』を共有していなければなりません」
パスを出せる瞬間がはっきり共有できるのは、ボールが完全にコントロールされた瞬間だ。風間さんの基準では、止めてから蹴るまでの時間は1秒以下であり、ボールが動いている状態は「止める」ではなく「運ぶ」になる。なので、ボールは完全に止まっていて、すぐ蹴り出せる状態にあることが「いつ」の目安だ。「止める」のときに出てきた「いま」と同じである。
この「いつ」(または「いま」)が共有されていないと、せっかくマークを外していても受け手はパスが来たときに相手にマークされてしまう。たいていはボールが止まっていないのに(「いま」ができていないのに)、受け手が自分の受けたいタイミングで動いてしまうので、そのときはマークを外していても実際にパスが出てくるタイミングでは再びマークされてしまうのだ。出し手がパスを出せる瞬間=「いつ」を共有していることで、はじめてちょうどいいタイミングでマークを外すことができる。
「『どこ』は、敵から外れている場所です。そんなに敵から離れていなくても大丈夫です。『いつ』が共有できていればそんなにスペースは必要ない。受け手は1人とはかぎらないので、受けられる可能性のある選手が同時に受けられる場所に動けば、守備側を無力にできます」
受け手とDFの距離について、風間さんは「そんなに離れていなくても大丈夫」というが、具体的に何メートルとはいっていない。これはパサーとの距離にもよるだろうし、状況にもよる。要はインターセプトされなければいいので、場合によって1、2メートルでも成立する。「どこで」、つまりパスを受ける場所は、想像されるよりもずっと狭い。スペースという言葉で連想されるのは5メートル四方、 10 メートル四方の誰も守っていない場所だと思うが、相手に引かれてしまっている状況でそんなスペースは通常空いていない。なので、敵から1メートルの距離でもパスを受けられなければならない。では、狭い場所でもパスを受けるためには「どう」すればいいのか。
「『どう』は、敵のマークから外れるための駆け引きですね。すでに外れているならそこに止まっていればいい。例えば、敵の視野から外れたところに立っていて、敵が気づいて動いたら逆をついて動く。わざと隠れるわけです」
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