「敵と同じもの」はみない。風間八宏の“受ける”極意

2017年10月27日

コラム

敵がわからない場所で味方と「待ち合わせ」をする

 敵の動きを見て、守れない場所をつく。風間流パスワークの真髄といえるところだが、そのためには「敵と同じものを見てはいけない」と、風間さんはいう。

「受け手はそんなにボールを見なくてもいいんですよ、『いつ』を感覚でわかっていれば。むしろボールばかり見て、ボールに反応してしまうと敵と同じものを見てしまう。それよりも敵を見る作業が大事。味方を感じられれば、違う場所で待ち合わせができる」

 例えばパスを受けるために動いても、DFにとって受け手とボールの両方が視野に入っている場合、受け手がどこでパスを受けようとしているか容易に予想できる(図 4)。これではいくら頑張ってマークを外そうとしても敵から逃れるのは難しい。

図4-2

図4-1

 このケースなら、むしろパスの出し手のほうがDFの動きを見て、その逆をつけばマークは外れる(図 5 )。

図5-1

図5-2

図5-3

 受け手は移動し終わって止まっていて、DFはまだ動いている最中か止まろうとしている直前とすると、DFの「矢印」と反対へ緩いパスを転がせば、受け手のほうが速く反応できるのでマークを外すことができる。

 もちろん受け手のほうも、このズレたパスの意図を瞬時に理解する、あるいは予めそれを狙っていることが成立の条件だ。

 このケースでは出し手側が敵を見て逆をついているが、受け手もそれを感じていることで「違う場所で待ち合わせ」ができている。「敵と同じもの」ではなく違うものを見ていることになるわけだ。

「味方だけを見てパスをつなごうとするから、敵が入るとわからなくなってしまう。味方も見ますけど、むしろ『敵の一歩』を出させてしまえばいい」
 
 敵がわからない場所で味方と「待ち合わせ」をする。それには「敵と同じもの」をみてはいけない。つまり、パスの出し手と受け手の意図が一致していて、なおかつそれが敵にはわかっていないということだ。どうしてそれが可能になるかというと、パスの受け手と出し手のどちらもが、 「敵の一歩」をパスの合図とすることで考えが一致しているから。敵の矢印が出る、そのとき自ずとパスを受ける場所(=出す場所)が決まってくるからである。

(つづきは、10月23日発売の『技術解体新書 サッカーの技術を言葉で再定義する』でご覧ください)


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【商品名】技術解体新書 サッカーの技術を言葉で再定義する
【発行】株式会社カンゼン
【著者】風間八宏・西部謙司
四六判/168ページ
2017年10月23日発売

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