「プレー機会の平等をどのように創出するのか」。ジュニア年代に問われている課題と、その解決が将来につながる一歩である
2018年01月09日
コラム
なぜ6年生にコンセプトの違う大会を経験させるのか
そもそも8人制サッカーを導入し、全日本少年サッカー大会を冬開催にしたのは何のためなのか。また一方で、6年生を対象に各地で11人制サッカーの大会が開かれ始めているのはどうしてなのか。
ここ数年、様々な指導者を取材していると、ジュニア年代では矛盾した現象が起きていることに気がついた。北海道コンサドーレ札幌の浅沼達也監督も「考える力」を養いたいが、8人制サッカーが取り入れられている以上は現場だけでそれを解決するのは厳しいと語る。
「私自身は今大会(全日本少年サッカー大会)に参加したのは7回目です。正直、8人制が考えることを難しくさせている。たとえば、11人制だとスペースがないので、そこでどうするかを考えることが求められます。
8人制になってから、その部分を発揮するのが環境としてどんどん難しくなっています。スペースがあるとフィジカル能力の高い子、スピードやパワーのある選手が目立つし、結果として何も考えなくてもそういう子たちがプレーできてしまう状況に陥ります。私は、そういう流れを生んでいるのが8人制だと感じています。
日本サッカー協会(JFA)は、8人制サッカーを導入することで一人の選手のボールタッチ数が増えて判断する機会が増える。そういう考えのもと8人制に切り替え、現場に求めたと思います。しかし、実際に選手たちがそのようなプレーをしているかと問われたら、ほとんどないです。ということは、このオーガナイズが狙いと違う方向に進んでいるのではないかと思います。
11人制サッカーは『フィジカルが通用しない分、何をすべきか』と考えさせられる局面が多いです。私も指導者を16年やっていますが、昔の11人制の時代は確かに身体能力の高い子をそろえ、ボコボコとボールを蹴っていました。でも、徐々に指導者の育成が浸透していくなかで、しっかりとボールを動かしながらゴールを狙うサッカーが少しずつできてきていました。
ただ、そのタイミングで8人制に切り替え、個の育成をテーマにボールタッチ数や判断の増加という狙いを持ったはずでしたが、そこで何が起こったかといえば、より身体能力の高い子が目立つ環境を作り出してしまいました」
たとえば、夏休み終盤に開催される「U-12ワールドサッカージュニアチャレンジ」は11人制サッカーが採用されている。FCバルセロナといった欧州からの招待チームへの配慮があるのだろうが、毎年この大会を見ていると、欧州クラブの選手たちも11人制への適応には最初戸惑っている。しかし、彼らは自国がこの時期から11人制へと切り替わるため、大会を有効活用しているようだ。それは、試合を追うとよくわかる。
いかにピッチの幅を使うか。
どのようにサイドを活用するか。
どう時間とスペースを作るか …etc.
このようなことをFCバルセロナなどは大会中どんどん学んで成長していくが、日本チームの多くは8人制サッカーをそのまま実践しているから、指導者も選手もせっかくの経験を取り込めずにいる。ただ1、2か月後には「全日本少年サッカー大会」の予選が始まるから、子どもたちを振り回したくない現場の気持ちも理解できる。
付け加えると、8月はいろんな大会が重なり合う。その中には、フットサルの全国大会「バーモントカップ」も含む。当然、出場する大会は各クラブが取捨選択をするだろうが、同月だけで5人制、8人制、11人制と人数の異なるサッカーが3つも存在する。そして、選手たちは1日に2〜3試合は当たり前というサッカー漬けの毎日を過ごす。
そのような影響もあり、8月下旬の「U-12ワールドサッカージュニアチャレンジ」を毎年取材して思うのは、子どもたちの疲弊度合いが色濃いことだ。しかも、それはピッチに立っている一定の選手たちだけである。どうして交代しないのか? 動きを見ても、出場機会の多い選手たちはすでにサッカーに対してお腹いっぱいだ。一方で、出場機会の少ない選手たちは試合に飢えている。
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