指導者たちに聞く!現代の環境の中で求められる指導法とは/座談会企画<後編>
2018年03月02日
コラム
【褒めて伸ばす指導者が多くなってきているのにも関わらず、自由なプレーをする子が少なくなってしまったと指摘する菊池一典さん(FCカーニョ代表)】
現代の環境に求められる指導術
菊池 昔は今よりも厳しい指導者が多いなか、それに抗うように自由にプレーする選手も多かった。しかし、今は自由を尊重して話を聞いてあげて褒めて伸ばす指導者が多くなってきたにも関わらず、自由なプレーをする子が少なくなってしまったのはとても不思議なことです。
今はなんでもかんでも肯定をしてしまう風潮があります。それはとても大事なんですけど、子どもたちが自由を与えられることに慣れてしまいました。良い意味でも悪い意味でもヤンチャな子が出てこなくなりましたね。
在原 僕は、まだ若造なので昔のことはよく分かりません。ただ、昔はアプローチの仕方が違っていたのかなと思います。一個のやり方、その基準があるから、今ルールから外れたことをあえてやっているのか、ルールの中でプレーをしているのか、ルールに縛られてしまっているのか、そのあたりの基準は今より昔の方が明確にあったのかもしれません。
今のフットサルは自由過ぎて、プレーを選べなくなってしまう選手がとても多いです。何を基準にそのプレーを選んだのか。選手たちの考える力を伸ばす教え方をしたいはずが、選手たちが自由にその場その場でプレーをすれば良いというような指導をしている方もいます。そういう指導者こそドリブルだけを重要視している方に多いですね。
いろいろな指導者の方々から話を聞くのですが、ポジションを決めないで試合に臨むチームもあるそうです。選手たちの役割を決めないで、試合をすると上手くいきません。なぜかというと、子どもたちは「これもあり」「これもあり」と自由勝手なプレーをするからです。そうなると指導者は「そうだよね」と褒めるしかありません。
そういう子たちに「なんでそのプレーをしたの?」とか「なぜ?」と問いかけても言葉が詰まってしまいます。考えながらプレーはしていると思いますが、もっと考え方を深めていく指導が必要ですね。だからこそ、問いかける指導は重要になってきます。子どもたちがしっかりと考えてプレーをしていたかどうか、指導者が問いかけて、フィードバックをしてあげることが大事です。
屋良 僕が実際にブラジルに行ってびっくりしたのは、練習の時に2タッチゲームしかしなかったことです。ドリブルの国だと思って行ったら、誰もドリブルしませんでした。ブラジル人はコーチが「やれ」と言うと、勝手なことばかりするので、練習の時に「2タッチ」とか制限をつけるようにすれば、チームとして成長し、うまくまとまっていきます。
渡辺 ブラジルならではの話ですね。しかし、例えば日本で、ネイマールのような3年生がいた時に「おまえ全部(ドリブルで)抜いていけよ」と言える指導者がいるかどうか気になりますね。チームで一貫した育成メソッドや考え方がシステム的に共通になっているなかで「そのやり方もあるけど、1人で好きにやってっていいよ」と、言ってあげれるような指導者がいてもいいと思います。私はそういう指導者がそこにいてくれたら嬉しいです。

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