状況判断の向上に「認知力」は必要不可欠である。その真意を説く【6・7月特集】

2018年06月06日

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「見る」ことを掘り下げて子どもの指導をしているか?

 さて、話を「状況判断」にしぼる。

 サッカーをプレーするためには「目から入った情報を脳内でしっかりと認識し、それを分析した上で状況に応じた適切なプレーを体で表現する」だと書いた。このカッコ書きの一文の中には、いろいろと身につけなければならない要素があるのだが、注目して欲しいのは最初のフレーズ「目から入った情報」である。その訳は、サッカーのプレーにおいて一番初めにする行為だからだ。これを多くの指導者が「周囲を見ろ!」というワンフレーズで片付けている。

 文字通り、「目から情報を入れる」わけである。情報とは、意味あるもの。そこには「何を見るのか」だけでなく、「なぜ見るのか」という理由が存在するから、見たものが情報として「自分のプレーに必要な材料」になり得るのではないだろうか。

 サッカーにおいて、私はこのことを「認知力」だと思っている。

「認識して見たものを知る力」と書いて認知力だ。認識して見るには理由があり、それを情報として知る力が高まるから判断に必要不可欠な材料がより明確に、より豊富に集められるのではないだろうか。

 以前、8月のジュニアサッカーワールドチャレンジを分析したスペイン人指導者のアルベルト・ペレス氏がボランチを例に挙げ、FCバルセロナ(以下、バルサ)と日本チームの違いを「認知力」だとうったえた。彼が口にした言葉をいくつか並べてみたい。

「バルサのボランチは攻撃の選手と守備の選手との間に立ち、常にバランスを取り続けています。それは同時に周囲の状況を把握し続けているという意味でもあります。これはトップの選手でもコンセプトは同じです。セルヒオ・ブスケツ選手は常に攻撃と守備の間に立ち、どんな状況においてもチームのためにプレーする位置にポジションを取り続けています。ボランチは常に周囲の状況を理解することが大切です。ボールを奪った瞬間に相手に奪い返されず、ボールを前進させられる。セルヒオ・ブスケツ選手は判断力がいいのです」

「当然、守備時も一つの方向だけを見ているといい守備はできません。だから、広範囲が見られる「体の向き」を作る必要があります。それにより周囲の状況を把握できるから、自分がプレッシャーをかけに行くのか、カバーをするのかが判断できます。そのためにはディフェンスにおいて、トライアングルを意識しなければいけません。この場合、第二DF(カバー)として、ボール保持者と自分のマークすべき選手と自分との関係の中でうまく三角形を作ることが大事です。それがトライアングルです。そうすれば、ボール保持者と自分のマークすべき選手を同一視野で見ることができます」

 アルベルト・ペレス氏の発言を表面的に読んでしまうと、多くの指導者が「ポジショニング」「体の向き」「判断力」「トライアングル」といったキーワードに注目する。しかし、日本のジュニア年代の指導者たちにとって、現状最も大事なことは「周囲の状況を把握できるちから」や「周囲の状況を理解すること」という内容だ。それを読み解くことが先であり、それがどういう意味なのかに目を向けなければならない。

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 周囲の状況を把握するために何が必要なのか。
 周囲の状況を理解するために何が必要なのか。

 サッカーのプレーには前提として、最初に「目で情報を入れる」作業が発生する。例えば「敵を見る」と言っても、敵は8人(11人)いる。マークと言っても、ボールを持てば常に複数にマークを受けている。どの範囲の敵を、何人見るのか。見ると言っても優先順位があるからその判断基準は単なる距離なのか、自分が前進したい方向に存在する敵なのか。敵だけで語っているが、味方もいる。シンプルに見ることだけを語っても、様々なことが挙げられるのだ。

 重要なことは、子どもたちの目線に立つこと。

 だから「何をどう見ればいいのか」が重要であり、そこに対して指導者が明確に理由を述べられたらそれでいい。しかし、明確な理由を言えるためには「状況判断」というフレーズをどこまで深く考え、簡単な言葉に落とし込んだかを自分なりにやってみなければ、子どもたちに伝えられるはずもない。

 そのためには多少なりともサッカーを科学しなければならないし、子どもを科学しなければならない。

 そこで、6・7月は「認知力」をテーマに特集を組む。第二弾から登場する指導者がこの言葉をどう理解し、トレーニングに反映させているか。たくさんの指導者にヒントにしてほしいし、プラスαの知識へと昇華してほしい。

<関連リンク>
「認知力」はボランチとして持つべき最低限の能力である。攻撃時に必要なボランチの動き方


【特集】サッカーにおける「視る」とは何か


 

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