「テストに落とされ続けた」少年時代。グリーズマンはどんな”武器”を手に入れ、進化していったのか?
2018年07月06日
サッカーエンタメ最前線フランス代表は、今夜ベスト4進出を懸けて南米の強豪ウルグアイと対戦します。その中で注目したい選手がアトレティコ・マドリーに所属するアントワーヌ・グリーズマンです。ロシアW杯でもここまで2得点を記録しています。今回は、スペインの地で成長していったフランス代表のエースの究極スキルを解説していきます。
著●西部謙司 写真●GettyImages
『PERFECT SKILL パーフェクトスキル 世界トッププレーヤーの究極スキルを解説する』より一部転載
「テストに落とされ続けた」少年時代
少年時代にいくつものテストを受けて、ことごとく落とされた。「小さすぎるし細すぎる。プロではやれない」というおきまりの評価である。後年のスーパースターの多くが華奢、小柄という理由で「プロは無理」と判断されている。
身長は伸びる、体も大きくなる、なのにどうして逸材を逃すのか不思議だった。アントワーヌ・グリーズマンだけでなく、将来のスターは少年時代にも必ず光るものを持っていたはずだからだ。
フランスのクレール ・ ファンテーヌはJヴィレッジのモデルにもなった育成機関だ。初代校長のクロード・デュソーは後に日本にも来ている。彼がまだパリにいたころ、1枚の写真を見せてもらった。後にプロとなる2人が映っていた。1人はジェローム・ロテン、ASモナコで活躍して後にパリ・サンジェルマンでもプレーした。スーパースターではないがリーグアンのスタープレーヤーである。ロテンの隣にはティエリ・アンリがいた。
衝撃的だったのは、ロテンの背丈がアンリの半分ぐらいしかなかったことだ。半分は大袈裟かもしれないが大人と小学生だった。小さなロテンの才能は評価され、プロになることもできたわけだが、才能うんぬんよりこの体格差は一緒にプレーさせるのが危険なレベルだと思った。
フランスのアカデミーでプレーしている選手には早熟な子も多く、いくら技術に優れていても体格差がありすぎれば潰されてしまう。何も通用しないまま自信を失うだけと考えるのも無理はないのかもしれないと、そのときに思い直した。グリーズマンを見出したのはスペインのスカウトである。
レアル・ソシエダはグリーズマンを1週間のトライアルに参加するように勧めた。トライアル期間はさらに延長され、小さなグリーズマン少年はサン・セバスチャンのクラブへ移ることに。国境を越えてフランスの学校へ通い、夕方にはスペインへ戻ってきてクラブの練習に参加した。
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