たった少しの修正で状況が一変!バルサ指揮官が示した修正力。町クラブのパーシモンが見せた戦術的アプローチとは?/ワーチャレ取材日記①
2018年08月24日
U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2018
FCバルセロナがサッカー理解の高さを2試合目に証明する
今大会最大の利点の一つは、ジュニアサッカーライターとしてFCバルセロナのプレーを見られることだ。今年は「過去の中でも指折りの選手たちがそろう」との前評判を耳にしていたので楽しみにしていた。対戦カードは「FCバルセロナ×ヴィッセル神戸」。いよいよ、試合が始まった。
「序盤からエンジン全開か!」と思われたFCバルセロナだったが、ちぐはぐなサッカーが散見する試合展開だった。というのも、毎年1試合目は世界有数のビッグクラブの下部組織とはいえ、11人制に切り替わる時期で選手全員が「どういうサッカーをするのか」という意思統一が図れていない。
一方のヴィッセル神戸はFCバルセロナとの試合とあってモチベーションも高く、大宮と同様に肉弾戦でも負けないデュエルを発揮してパス回しを寸断していた。そのデュエルといえば、前日本代表監督のハリルホジッチが強調していた日本サッカーのウィークポイントだが、彼が残した功績は間違いなく、ジュニア年代の中にも息づいていることに気づけた。それは球際で戦うことが以前に比べると当たり前になっているからだ。いろんな物議を醸し出した代表監督問題ではあるが、この年代の試合を見ているとプラスに働いている。
余談が過ぎたが、話題をFCバルセロナ戦に戻そう。
1試合目の結果は辛うじて1対0でFCバルセロナが勝った。昨年も1試合目は「どうしたの、バルサ?」との感想だったが、昨年はスピードのある選手が多く縦への展開は勢いという点では特徴はあった。しかし、今年のチームはフィジカル的な特徴のある選手が少なく、チームとしての戦い方が必要だった。個人的な感想としてはこの時点で評価できず、「2試合目を見なければわからない」だった。
なので、2試合目がどうなったのかと合わせて日記を続けたい。
2試合目はガンバ大阪ジュニアとの対戦だった。そして、試合開始早々にFCバルセロナたるゆえんをプレーで表現した。個人もそうだが、チームとしてのギアが上がっていた。1試合目のダビド・サンチェス・ドメネ監督のベンチでの振る舞いは明らかに不満があらわだった。試合中、判断の悪い選手に対しては「どうしてそのプレーだったのか」ということをジェスチャー付きで示していた。その監督の行動に選手も「…」といった反応だった。
しかし、2試合目は明らかにチームとしてのパス回しがFCバルセロナらしいものになっていた。少し解説すると、1試合目に比べてサイドバックの位置を高くとり、そこを起点に縦のウイング、斜めのインサイドハーフかセンターフォワード、横のボランチとパスコースを最低3つにした。さらに個人のパススピードを1段階上げた。
たったそれだけの修正だと思うだろうが、たったそれだけの修正でその後の状況は一変する。中盤を超えた相手陣内からアタッキングサードに至る範囲でウイングを生かしたサイド攻撃と中央のパス回しからの崩しの幅が広がった。それは各局面で数的優位の状況を作り出すことに成功しているからだ。
そして、修正したのは攻撃だけではない。
守備の切り替えの部分で、現マンチェスター・シティ監督のペップ・グアルディオラがこのクラブの監督時代に持ち込んだ「5秒ルール」のようなボールを奪われたら即取り返すために複数でプレスをかけ、「守備でも自分たちがボールを支配するんだ」という意識が高まった。そのおかげで積極的なインターセプトが多くなり、ボールを支配する時間が1試合目に比べると圧倒的に増えた。
結局、後半開始5分までに3点を奪い、試合を決めてしまった。試合終盤にガンバ大阪ジュニアの選手たちもがんばって1点を取り返したが、試合は終始FCバルセロナペースだった。この修正については、毎年行っているインタビューの申し入れが今回も受け入れられたら聞いてみたい。
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