“認知-決断-実行”は同時に伸ばす。考える力を身につけることが「成長への一番の近道」【8月特集】
2018年08月28日
育成/環境もっと効率よく「認知-決断-実行」を包括した練習をすべき
――フットサルはサッカーよりもたくさんの引き出しが必要な分、指導者にトレーニングをオーガナイズする力が求められると感じています。フットサルは戦術というか、競技そのものが戦術的な要素が多分に含まれているスポーツです。サッカーは技術至上主義的な面がまだ多くて、トレーニングに目を向けると技術と戦術とが乖離してしまっていることが多々あります。
須賀氏「ロシア・ワールドカップでは、イングランド代表がセットプレーで多くの得点をあたことで、、彼らがバスケットボールの戦術を取り入れたという話が話題になりました。私たちフットサルの人間からすると、『いたって普通なこと』なの話です。フットサルであれば一度クロスしてマークを外すとか、一回すれ違って次にブロックを入れるとか、相手がゾーンで守っていれば自分のマークにブロックをするなどいくらでも引き出しはあります。
また、日本代表はベルギー代表のカウンターに沈みましたが、あのような局面もフットサルではよくあります。『どうやったらあの高速カウンターができるのか』と話題になりましたが、バスケットボールなら普通に起こることだし、フットサルでも普通に起こりえる現象です。
つまり、バスケットボールだけではなく同じ足でやるフットサルからも良いインスピレーションは受けられるのでは、ということです。
ただ、個人的には、サッカーチームがフットサルを取り入れるということを育成年代に特化しすぎなのかなとも感じています。例えばJリーグのチームや大学のチームでもぜひやって欲しい。フットサルのトレーニングを取り入れるのは、『認知-決断-実行』のサイクルを早めるために間違いなく変化が出ると思うんです。しっかりとサッカーのプレーモデルをフットサルのルールの中に落とし込んでトレーニングすれば、いい結果が出てもおかしくないチームもあるはずなんです」
――フットサルのトレーニングは「認知-決断-実行」という点の反復練習になります。サッカーの反復練習といえば対面パスのような「認知-決断」を伴わないトレーニングを指しますが、フットサルは違います。頭を鍛える側面とプレーモデルにマッチさせる側面と両面からアプローチできるのがフットサルの良さかなと思います。
須賀氏「認知と決断を伴うトレーニングをしないとなぜ“エラー”だったのかという理由が探れません。例えば足下に来たらボールを止めるしかないけど、一歩前に出してくれたら前に進めたというシチュエーションにおいて、2対1が1対1になったというシチュエーションがあった場合に、パスの出し手と受け手とどちらのエラーだと思いますか? 私の中では、絶対にパスの出し手のエラーです。その選手が一歩前のスペースにパスを出しているあげることで、受け手はコントロールオリエンタードで前に進んで2対1のままプレーできたでしょうという話です。そこが見抜けるかどうかというのは大事だし、そのディテールにこだわった毎回の練習を過ごせるかどうかも大事です。
フットサルだとコントロールオリエンタードはすべて足の裏でできてしまうんです。結局それが普通だから足下にボールが来ると気持ち悪い。それが普通だからパスがズレるとイライラします。なんで一個分ズレてるの? パスを出す側も基本的に難しくないことを前提にしているので、自然にミクロな視点でサッカーのプレー見ていきます」
――サッカーボールはコントロールが容易ではないということに戻ることが多いですね。6月発売号の本誌の特集テーマが「止める蹴る」だったのですが、アルゼンチンでも指導経験がある亘崇詞さんの企画記事でこう書かれていました。「アルゼンチンでは、必ず3タッチしてもいいからボールを足下に収めなさいと強く指導される。日本では1タッチ目にミスすると、頭を抱えてしまって次のプレーに進みません。でも、アルゼンチンでは2回のミスはダメだけど、1回のミスはすぐに取り戻せばOKだ」と。アルゼンチンでさえそれぐらい足下にボールを収めることが難しいというところからサッカーはスタートしているんだと思うんです。それなのに日本のジュニア年代では最初のトラップのところをミスミスと言い続けるから「認知-決断」が見えない現状になっているんです。
須賀氏「コントロールがズレているのに、そこから無理やりパスを出そうとしている傾向があるのかなと思います。きちんとコントロールしていいパスを次の選手に出せ、ということなのではないでしょうか。なぜならうやむやにしてパスを出すとその歪みが次の受け手に影響し、ズレた状態が続いてしまうからなんです。きっと亘さんの記事内容もそういう感覚で3タッチしても構わないと言っているのかなと思います。きちんとボールをコントロールするまで、次の選手に責任を押し付けるなということですね」
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